研究課題/領域番号 |
19KK0054
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研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
遠藤 野ゆり 法政大学, キャリアデザイン学部, 准教授 (20550932)
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研究分担者 |
川崎 徳子 山口大学, 教育学部, 准教授 (00555708)
佐藤 桃子 島根大学, 学術研究院人間科学系, 講師 (10792971)
大塚 類 東京大学, 大学院教育学研究科(教育学部), 講師 (20635867)
SENNECK ANDREW 山口大学, 教育学部, 助教 (70769041)
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研究期間 (年度) |
2019-10-07 – 2024-03-31
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キーワード | 特別な教育的ニーズ / 多様性 / 学校のプラットフォーム化 / 英国の教育 / 授業を通した生徒支援 / ファミリーグループカンファレンス / 児童虐待 / 発達障害 |
研究実績の概要 |
本研究は2019年10月に交付決定となったため、実質的に半年間しか研究の時間がなかった。さらに、本研究は国際共同研究であるが、COVID-19の影響を受け、2020年3月に予定していた英国での調査、研究会等が十分に実施できなかった。以上の理由から、2019年度の研究業績は、国内でできた研究や、これまで実施してきた研究のまとめに留まる。 本研究は、研究立ち上げ段階(交付以前)に、各調査担当領域についてのまとめを行っており、交付が決定した後、メンバーで研究会をもった。そして、それぞれの専門領域から、学校のプラットフォーム化に向けて何が課題かを整理した。そのうえで、5年間、どのような計画で研究を遂行するかを立案した。 また、2020年3月には、メンバーの一人が渡英し、英国の共同研究者2名との研究会をもった。そこで、フィールドワーク調査の実施計画の相談や、自閉症研究に関する英国の状況の情報整理をおこなった。さらに、英国の共同研究者らが来日し、日本の学校を視察する計画を立てた。なお、COVID-19 の今後の状況に応じて、研究は今後もフレキシブルに対応していくことを確認した。 以上の具体的な活動を通して、以下の研究業績がまとめられた。まず、他者である子どもに対してどのようなアプローチが可能なのかを、現象学的な観点から整理した。これらは、学会発表や学会論文という形にまとめた。さらに、現象学的な観点から、現在の日本の教育に関する諸問題を整理し、それらを書籍としてまとめた。加えて、幼児の育ちと環境に関するこれまでの知見を整理した。これらは、今後の英国での調査の基礎となるものである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究は2019年10月に始まり、国内での研究計画の検討、研究会の実施などをおこなってきた。そこで本研究全体の見通しを立て、また、英国の共同研究者とのメール打ち合わせを続けてきた。2020年の英国調査、2021年には英国から共同研究者を日本に招いてのシンポジウム実施等の打ち合わせをしている。 しかし2020年3月に英国で予定していた、日本と英国の研究チーム全員での打ち合わせ及び初回調査は、COVID-19 の影響で延期となった。また、2020年夏に予定している英国での調査も、現状、計画を立てるのが難しい状況である。 その中で、2020年3月には、日本研究者の1名のみが英国にて英国共同研究者との対面打ち合わせを実施することができた。発達障害の子どもに対する支援の仕組みづくりについて、英国と日本の状況を情報共有している。こうしたことから、COVID-19 のために研究は遅れがちではあるが、最小限の遅れに留まっていると判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
英国での調査がいつ可能になっても良いように、2020年度は、まず前半は国内での研究を進めていく。学校現場での調査は、学校再開がいつになるかに左右されるため、当面は、文献を通じた研究を進めていく。英国の教育、福祉の状況についてのレポートを読み、英国から見た日本の状況についても、文献を手掛かりに捉えていく。こうした内容については、定期的なオンライン研究会を実施し、プラットフォーム化という観点から、論文にまとめていく。 また、日本の学校が再開されれば、それぞれの領域で調査に入ることにする。その中では、多様な困難を抱える家庭に対してどのようなアプローチをしているのか、学校への聞き取り調査を行う。さらに、子どもや家庭との信頼関係を築いたうえで、学校からの支援がどのように受け止められたのかを明らかにしていく。また、子どもの困難に困り感を抱えている家庭のニーズが何なのか、家庭だけでなく、ソーシャルワーカーらからの聞き取りも実施していく。こうして、学校の価値観と福祉の価値観の違いをあぶりだしていく。 また、COVID-19 の状況次第では、なるべく早く英国での調査を開始する。英国と日本の教育現場で、福祉とのつながりをどのように捉えているのか、その違いを明らかにし、日本の学校で福祉的な働きかけを難しくする要因を探る。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年3月に実施予定だった英国での打ち合わせおよび調査について、COVID-19の影響で、次の変化が生じた。打ち合わせは5名参加予定のうち4名がキャンセルし、学校調査は5名参加予定のうち5名(全員)、また福祉施設での調査は1名参加予定のうち1名(全員)がキャンセルをした。このため、調査のために購入予定であった物品や旅費等に大幅な次年度使用額が生じた。 2020年度は、COVID-19の状況次第ではあるが、なるべく早く、本来予定していた英国での調査を実施する。この打ち合わせと調査が可能になるようであれば、そのための旅費や必要となる物品のために経費を使用する。この調査に向けて、英国の共同研究者との打ち合わせを密にすべく、必要な物品を購入する。また、COVID-19がおさまるまでは、文献での研究やウェブを通してのインタビューなどによって国内調査を進めていくため、調査に関わる諸費用(文字起こし費用等)を使用する予定である。
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