研究課題/領域番号 |
19KK0056
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
清水 美憲 筑波大学, 人間系, 教授 (90226259)
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研究分担者 |
日野 圭子 宇都宮大学, 教育学部, 教授 (70272143)
辻山 洋介 千葉大学, 教育学部, 准教授 (10637440)
舟橋 友香 奈良教育大学, 数学教育講座, 准教授 (30707469)
平林 真伊 山形大学, 地域教育文化学部, 講師 (70803021)
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研究期間 (年度) |
2019-10-07 – 2023-03-31
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キーワード | レキシコン / 数学 / 授業 / 比較文化的研究 / 教授・学習 / 国際比較 |
研究実績の概要 |
本研究は、学校数学の授業を計画したり授業における教授・学習行動を記述したりするために教師が用いる語彙群を「授業レキシコン」として体系化し、異なる社会文化的背景の下で特定される他国の授業レキシコンとの比較によって、わが国に固有の「 授業論」とそれを支える教授概念、及びそれらに基づく教師の教授行動の特質を比較文化的観点から明らかにすることを目的としている。 研究の初年度は、研究の枠組みの構築と具体的な研究計画の策定のために、研究代表者が2019年12月にメルボルン大学の国際授業研究センターを訪問し、共同研究者のDavid Clarke教授及び同センターコーディネーターのCarmel Mesiti氏と討議を行った。特に、授業レキシコンの構成に関する理論的基盤の検討を行うとともに、その体系化のための枠組みを、それぞれの国で作成されたレキシコンのリストとその分類の観点について検討した 。また、異なる社会文化的背景の下で特定される他国の授業レキシコンとの比較を行うための研究方法論の検討を進めた。 一方、これまでに10カ国の共同研究者とともに進めてきた各国の授業レキシコンに関する分類とそのリストを中心とする研究書籍の刊行準備を行った。この書籍は、令和2年度の前半に刊行予定であり、この内容を基盤に、今後授業レキシコンとの国際比較を行うことを意図している。 国内でのレキシコンの構成については、新しい教育の動向の変化(特に、新学習指導要領の告知)に伴う教師の語彙群の変容を視野に、上記書籍に収録されるリストの改訂を行う形で進めることとした。具体的には、学校現場でしばしば用いられる「深い学び」や「数学的な見方・考え方」のような新しい語彙について、リストに加える必要と、そのための整理の方法を検討した。今後、授業研究会における討議場面等の記録から、このような語彙を特定する作業を進めることとした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2020年3月に、研究代表者と2名の研究分担者の3名がメルボルン大学を訪問して、日豪両国の授業レキシコンの比較研究を行うために研究討議を行う予定であったが、新型コロナウイルス感染症の感染拡大への対応のため、オーストラリアへの渡航ができず、会議を持てなかった。その後、メールによる討議を行っているが、当初の計画を十分遂行できない状況である。さらに、当初予定して、査読の結果受理されていた2つの研究発表(全米数学教師協議会(米国)4月、及び第14回数学教育世界会議(中国)7月)が延期になり、発表は次年度に持ち越しとなっている。新型コロナウイルスの感染拡大に伴う状況の変化が、国際共同研究を中心に展開する本研究にとっては、厳しい状況をもたらしている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、共同研究者とオンラインでの議論やメールによる検討を重ねつつ、状況をみて、可能であれば、令和2年度の後半には研究代表者と研究分担者全員が先方の研究機関を訪問して研究協議を行いたいと考えている。また、令和2年度に刊行される各国のレキシコンに関する英文書籍の内容に基づいて、異なる文化のもとでのレキシコンとその使用についての比較文化的研究を進めるための枠組みの構築を引き続き行っていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していたメルボルン大学訪問(3名)が、新型コロナウイルスの感染拡大による渡航禁止措置のため、実施できなかった。この経費は、翌年度における海外渡航費(育児休暇が終了する2名を含む5名)に充当する予定である。
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