研究課題/領域番号 |
19KK0057
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
飯本 武志 東京大学, 環境安全本部, 教授 (80302678)
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研究分担者 |
中山 穣 東京大学, 環境安全本部, 助教 (10804932)
主原 愛 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 助教 (10825665)
森本 彩子 東京大学, ライフサイエンス研究倫理支援室, 特任助教 (10851454)
林 瑠美子 名古屋大学, 環境安全衛生推進本部, 准教授 (50508421)
高嶋 隆太 東京理科大学, 理工学部経営工学科, 教授 (50401138)
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研究期間 (年度) |
2019-10-07 – 2022-03-31
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キーワード | リスク認知 / 意思決定 / 教育モジュール / アジア太平洋地域 / 放射線 / 原子力科学技術 |
研究実績の概要 |
≪研究テーマ1: R-RLIMの進化≫ 放射線(能)(Radiation & Radioactivity ; R)を代表的なリスクソースの例題と位置づけて、これまで研究代表者が中心となり研究開発した「リスクリテラシー醸成モジュール(Risk Literacy Improvement Module; RLIM)」を基盤として、米国TAMU等が開発した独創的なモジュール(POWERSET等)と適切に組み合わせることで、挑戦的かつ魅力的な国際モジュールのモデル(フィリピンモデル等)を完成させた。 ≪研究テーマ2: NST世論調査とR-RLIMの効果測定≫ アジア太平洋地域の8カ国(スリランカ、タイ、マレーシア等)の中等学校等における放射線教育の実施とその効果に関するアンケート調査を2020年度から実施するために、その情報基盤となる各国事情を集約し、アンケート設問の検討、整備と、回答の集約及び分析の方法等の具体的なプロセス設計を完了した(研究テーマ2-1 )。 ≪研究テーマ3: R-RLIMの国際共有化と規格化≫ 国際共通モジュールに求められるもの、または状況に応じて特別な配慮を要するもの等を整理するため、IAEA、豪州、米国、フィリピン、インドネシア及びマレーシアからの海外研究協力者との合同会合を開催し、汎用性が高くより安定的なリスクリテラシー醸成のプロセスについて検討した(研究テーマ3-1)。また、現地適用に相応しい国民性等に見合った独自モジュールにつき、日本モジュールを例題として、スリランカモデルを共同開発した(研究テーマ3-2)。 ≪研究テーマ4:G-RLIMの確立≫ 放射線以外の化学物質、生物バイオ等の環境リスクソースにも一般(General: G)適用するための手法の確立を目指し、アジア太平洋地区の中等学校教育での利用を想定した各種教材の骨子を検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究分担者らとの3度の公式会合を通じた準備と調整の活動を経て、オーストリア(ウィーン)にて2020年2月、IAEA、豪州、米国、フィリピン、インドネシア及びマレーシアからの海外研究協力コアメンバーとのキックオフ会合を開催し、本研究開発全体の具体的な手順を詰めることができた。予定していたスリランカ(3月)、マレーシア及びタイ(4月)、フィリピン及びインドネシア(5月)での現地活動は、新型コロナウィルスの影響を受けた渡航制限により2019年度は実現しなかったが、その代替として、中国、モンゴル、ベトナムを含むアジア太平洋8カ国(B国群)すべての海外研究協力者が参加した遠隔会議を代替開催することで、今後の研究開発に必要となる事前の情報共有と、参加者全員の合意に基づくすべての調整を完了した。 以上により、参加国毎の活動を2020年5月頃から実際に開始できる見込みが立った。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度以降の研究計画に大きな変更はない。 2020年度の大きな研究開発活動としては、(1)アジア太平洋地区8か国(B国群)を中心とした中等学校における放射線教育の実施とその効果に関するアンケートの取得を開始し、(2)国際モジュールの一構成要素にもなる、さまざまなリスクマネジメントを視野に入れた標準テキスト等の開発工程に入ることを計画している。これらの研究開発活動に関連した国内外の最新動向、研究分担者や各国協力者の活動の進捗状況を適時頻繁に情報共有し、関係者全員を対象とした高いレベルでの動機づけを継続する。海外への渡航制限がしばらく続くことも想定し、遠隔会議ツール等を駆使しつつも、時機を見て優先順位をつけての現地訪問、協働活動を企画する。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していた海外協力研究者との協働での現地活動は、新型コロナウィルスの影響を受けた渡航制限により、2019年度は実現しなかった。結果としてその渡航にかかる費用と現地での活動費用を2020年度に繰り越すことになった。時機を見て、A国群2か国(米国、豪州)及びB国群8か国への現地訪問及び協働活動を、各国別に開始した研究開発の進捗状況に応じて順に実施する。また、研究分担者らとの議論に基づき、一般的なリスクマネジメント、さまざまな分野における最適化に関する国内外の最新知見を収集し、共有するワークショップを開催する予定にしている。
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