研究課題/領域番号 |
19KK0063
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
唐沢 穣 名古屋大学, 情報学研究科, 教授 (90261031)
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研究分担者 |
石井 敬子 名古屋大学, 情報学研究科, 准教授 (10344532)
後藤 伸彦 京都ノートルダム女子大学, 現代人間学部, 講師 (40824959)
鶴田 早織 (塚本早織) 愛知学院大学, 教養部, 講師 (80794073)
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研究期間 (年度) |
2019-10-07 – 2024-03-31
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キーワード | 社会的少数者 / 偏見 / 社会的排斥 / 集団間関係 / 異文化接触 / 社会的地位 / 文化 |
研究実績の概要 |
新型コロナ・ウィルスの影響により海外渡航がいっさい行えない状況の下、各国の研究ティームによる研究を個別に行いながら、リモートでの連絡を維持するという方式で連携を進めた。まず日本国内では、移民や障害者といった少数者集団に対する潜在レベルのステレオタイプ、脅威知覚、嫌悪感情などの媒介過程と、イデオロギー的な信念の影響を明らかにするための実験研究を行った。 北米地域との研究では、拠点であるカリフォルニア大学バークレー校・Dacher Keltner 教授の研究室との研究交流を維持し続けたのに加え、カリフォルニア大学アーバイン校・Oliver Sng氏との共同研究に進捗が見られた。具体的研究内容として、集団間関係に影響を及ぼす生態学的要因とステレオタイプに論文の執筆についての打ち合わせを行ったほか、「勤勉」「信頼」「時間」などの概念に関する、文化的価値観の差異の可能性について検討を進めた。さらに、New School for Social Research ・Joan Miller 教授研究室との共同研究では、ゴシップによる社会的排斥の基礎過程に関する実証研究を開始した。 この他、アルバータ大学(カナダ)、カリフォルニア大学サンタバーバラ校との共同による文化比較研究にも進捗があった。 香港拠点との共同研究では、集団間感情に関する実験研究の成果を学術誌に公刊した。 オーストラリア拠点・メルボルン大学の研究ティームとは、幸福感の規定要因に関する国際比較研究の成果を学術誌に公刊したことにより、研究協力体制の構築に前進があった。 ヨーロッパ拠点では、イタリアとの共同研究については大きな進展がなかったが、英国・ブルネル大学との共同研究を新規に開始することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究実績の概要で述べたように、各国内での研究については一定程度の進捗が見られるが、海外渡航がほとんど不可能であったために国際共同研究については、遅れが見られることは否定できない。遠隔での連絡をもとに、文化比較研究においては共同体制の確立ができたものの、依然として2国間の共同に留まっており、さらに広範な研究ネットワークを構築するためには、いっそうの努力が必要である。
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今後の研究の推進方策 |
主に文化比較研究によって共同体制を構築することができたティーム間では、よりいっそうの関係強化を図る。一方、少数者集団排斥の問題と直接関連する研究テーマにおいても、国際共同研究をさらに進展させるため、新型コロナ・ウィルス感染状況に十分留意しながら、海外渡航の機会を増やす試みを、より積極的に行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナ・ウィルスの感染が続いたことにより、海外渡航がいっさいできなかったほか、国内の移動も難しかったために、国外および国内旅費が未使用となった。共同研究のパートナー国は、いずれも厳しい移動制限を解除し始めており、今後は渡航の可能性が見込まれる。
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