研究課題/領域番号 |
19KK0068
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研究機関 | 中部大学 |
研究代表者 |
荒井 迅 中部大学, 創発学術院, 教授 (80362432)
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研究分担者 |
平岡 裕章 京都大学, 高等研究院, 教授 (10432709)
大林 一平 岡山大学, サイバーフィジカル情報応用研究コア, 教授 (30583455)
竹内 博志 滋賀大学, データサイエンス教育研究センター, 助教 (40851457)
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研究期間 (年度) |
2019-10-07 – 2025-03-31
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キーワード | 位相的データ解析 / 計算トポロジー / 力学系 |
研究実績の概要 |
本研究は,力学系と計算トポロジーを融合することにより,新しいデータ解析の手法を開発すること,また開発した手法を用いて様々な分野の具体的な応用問題に貢献することを目指す.さらに,具体的な問題への応用という観点から力学系の安定性理論を見直し,新しい力学系の安定性概念を提案することも目的とする.主な道具は,力学系理論からはコンレイ指数理論や分岐理論,一様双曲性証明アルゴリズムであり,計算トポロジー理論からはパーシステントホモロジー理論やその逆問題解析法などである.この目的のため,力学系の研究と位相的データ解析の双方の分野において世界的に指導的な役割を果たしてきた,米国ラトガース大学のミシャイコフ教授のグループと連携を進める.アルゴリズムの実装から具体的な応用まで幅広く相互に技術を交換し,データ解析の新しい枠組みを展開することを目指す.本年度は,昨年度に引き続き,動的なデータ解析を目指す上で重要な,サンプル写像に対するパーシステントホモロジー理論の基礎づけや,計算アルゴリズムについての研究を進め,新しい知見が得られた.応用面では,位相幾何学的な手法で得られる解析結果を,LiNGAMなどの統計的因果推論や,大域的な力学系解析手法などの結果と比較し,また相互に組み合わせることで信頼性を高める手法について研究を進めた.生物学や化学,神経生理学などの異分野から提供される様々な実データに対して適用できる手法の開発を進めている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新型コロナ感染拡大もあり,海外へ渡航しての研究活動は予定より遅れているが,サンプル写像に対するパーシステントホモロジー理論の基礎づけや,実データへの応用可能性についての検討,さらに具体的なデータ科学者との連携が順調に進んでいることなどから,全体ではおおむね順調に進展していると判断した.
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今後の研究の推進方策 |
サンプル写像のパーシステントホモロジー理論を基礎に,データ駆動型のコンレイ指数理論を構築することを引き続き目指す.さらに,その計算アルゴリズムの高速化と並列化のため,様々な近似アルゴリズムやデータ構造などを取り入れる研究を行なう.また,神経整理学に由来するデータの解析への応用について検討を始め,開発した手法の有用性を検証できるようにする.
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルスの影響により、参加を予定していた学会や、海外の研究協力者を訪問しての共同研究が延期となったため。
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