研究課題/領域番号 |
19KK0073
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研究機関 | 核融合科学研究所 |
研究代表者 |
西浦 正樹 核融合科学研究所, ヘリカル研究部, 准教授 (60360616)
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研究分担者 |
藤井 恵介 京都大学, 工学研究科, 助教 (10637705)
矢内 亮馬 核融合科学研究所, ヘリカル研究部, 助教 (40824743)
關 良輔 核融合科学研究所, ヘリカル研究部, 助教 (80581066)
釼持 尚輝 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 助教 (80781319)
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研究期間 (年度) |
2019-10-07 – 2024-03-31
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キーワード | プラズマ / 核融合 / 高エネルギー粒子 / 散乱計測 / ミリ波 / トモグラフィー / 深層学習 / GAN |
研究実績の概要 |
核融合プラズマ中のDT反応で発生する高エネルギーイオン(3.5MeVα粒子)は燃料イオン(D,T)を加熱し,プラズマの自立燃焼を支える.ITERでのα粒子計測はミリ波協同トムソン散乱(Collective Thomson Scattering, CTS)計測を採用したが,開発途上にある.本研究はミリ波CTS計測による核融合プラズマ中の高エネルギーイオンの速度分布関数計測手法の確立を目的とする. CTS計測で高エネルギーイオンと複数種のイオンの速度・空間分布の評価手法を確立するために,高周波数分解能とダイナミックレンジを両立する超高周波数分解能を持つDSP受信機の開発を進めた.高ダイナミックレンジ (> 30 dB)化を確認する必要があるため,今後,システム全体での総合性能を評価する. 受信機のコンポーネント開発として,ジャイロトロンの迷光を除去する狭帯域ノッチフィルターを設計,製作,性能を評価した.必要な性能を満たしていることを確認した. 本研究を実施するにあたり,2020年2月に研究代表者と分担者がドイツマックスプランクプラズマ物理研究所に出張し,研究概要の説明と今後の進め方を打ち合わせた.デンマーク工科大は遠隔参加で議論した. CTSスペクトルの解析に関して,計測した1次元スペクトルから2次元速度空間の分布関数へ再構成を行う必要がある.新たに深層学習(Generative Adversarial Networks, GAN)を利用する手法に取り組んだ.2視線用意すれば,2次元速度分布から1次元分布への順変換とその逆変換が可能であることを示した. レーザープラズマ計測会議(LAPD2019)に於いて招待講演を行い,高い評価を得た.その他,国内外の学会において成果を報告し,投稿論文が出版された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2020年2月に研究代表者と分担者がドイツマックスプランクプラズマ物理研究所に出張し,研究概要の説明と今後の進め方を打ち合わせた.デンマーク工科大は遠隔参加で議論した.申請時の内容をお互い再確認した.ミリ波加熱・計測装置の情報交換を実施するとともに,本共同研究活動の継続についても了解を得た. CTS計測で高エネルギーイオンと複数種のイオンの速度・空間分布の評価手法を確立するために,高周波数分解能とダイナミックレンジを両立する新規受信機の開発を進めた.現在,予定通り年度内にハードウェアをそろえることができている. CTSスペクトルの解析手法は深層学習を取り入れた新たな試みである.モデル分布を用いて原理を検証した.今後はより複雑な分布関数で速度空間の再構成が可能であることを示すとともに,実験結果に適用する予定である. 以上の事から,当初の予定通り,研究課題を順調に進めることができている.
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今後の研究の推進方策 |
2020年度以降も,ドイツマックスプランクプラズマ物理研究所において,研究を実施する予定である.しかし,昨今の新型コロナ感染症のため,出張や招聘,国際会議での成果報告の予定を変更する可能性が高いが,臨機応変に対処する. W7Xに新受信機を持ち込み,W7XのCTS受信機のミキサーの中間周波数出力を分岐して新受信機を繋ぎ込む予定である. CTSスペクトル解析コードの開発に関して,高エネルギーイオンの速度分布関数の解析は引き続き継続する.バルクイオン温度を評価するために,ベイズ理論を用いた多変量解析を行い,イオン温度の評価を実施する.継続作業となるが,W7XでCTS計測の精度検証を実施する. LHDとW7Xの高エネルギーイオン解析と制御について,2020年度のLHD実験にW7Xの研究者を招聘し,実験結果の議論を進める.日本で予定されている国際会議にて最新の成果を報告する.
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次年度使用額が生じた理由 |
ドイツマックスプランクプラズマ物理研究所への出張費について,所属機関からの支援を得ることができたため,それにより生じた未使用額については,受信機のチャンネル数を増やすために次年度以降に使用する予定である.
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