研究課題
核融合プラズマ中のDT反応で発生する高エネルギーイオン(3.5MeVα粒子)は燃料イオン(D,T)を加熱し,プラズマの自立燃焼を支える.ITERでのα粒子計測はミリ波協同トムソン散乱(Collective Thomson Scattering, CTS)計測を採用した.本研究はミリ波CTS計測による核融合プラズマ中の高エネルギーイオンの速度分布関数計測手法の確立を目的とする.CTS計測の新たな応用として,プラズマの乱流輸送を調査できる電子温度揺動計測を実施した.その結果,プラズマのMHD揺動に伴う電子温度揺動を捕らえることに成功した.電子温度に対し,数%の強い電子温度揺動は計測可能であることが明らかになったが,乱流起因の電子温度揺動の相関スペクトルを得るには,感度を一桁以上向上させる必要があることも判明した.この成果は,LAPD20で報告した.プラズマ加熱ビームから生じる高エネルギーイオンの速度分布は,入射ビームの磁場に対するピッチ角により,非熱化イオンは非等方的に存在すると考えられる.CTS計測によりCTSスペクトルの非対称性が観測され,実験的にも非等方な高エネルギーイオンの存在を確認した.この事実に基づき,高エネルギーイオンの非対称性を変化させることで,プラズマの輸送への影響を調査した.その結果,磁力線に垂直と並行方向の速度空間における非等方性を高めると,バルクイオンと不純物イオンは粒子を排出する方向へ,等方性を高めるとプラズマコア部の方向に輸送することを突き止めた.その結果は,65th APS Division of Plasma Physicsで,招待講演を行った.マックスプランクプラズマ物理研究所とデンマーク工科大の研究者らと本研究チームの交流,核融合スタートアップとの共同研究等,ミリ波分野の新しい拠点形成に貢献し,当初想定した以上の成果を得ることが出来た.
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すべて 国際共同研究 (3件) 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 2件、 査読あり 6件、 オープンアクセス 5件) 学会発表 (19件) (うち国際学会 13件、 招待講演 3件) 備考 (1件) 学会・シンポジウム開催 (1件)
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