| 研究課題/領域番号 |
19KK0079
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| 研究機関 | 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構 |
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研究代表者 |
長谷川 雅也 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 研究機関講師 (60435617)
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| 研究分担者 |
羽澄 昌史 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 教授 (20263197)
金子 大輔 東京大学, カブリ数物連携宇宙研究機構, 特任研究員 (60790342)
西野 玄記 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 特任助教 (80706804)
南 雄人 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 博士研究員 (80788240)
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| 研究期間 (年度) |
2019-10-07 – 2023-03-31
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| キーワード | 原始重力波 / 超伝導検出器 / 偏光 / 角度較正 |
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| 研究実績の概要 |
本研究では、世界初の望遠鏡群によるCMB偏光実験「Simons Array」を実現しCMB偏光の精密測定を行い、次世代実験での超精密観測の実現に向けた基盤技術の確立を目的としている。
Simons Arrayでは３台の望遠鏡を同時に稼働させる。今年度は１台目のコミッショニングを中心に活動を行なった。今年度は数年に１度の悪天候に加えて１月以降はCOVID-19の拡大により観測サイトを閉鎖せざるを得なかったため、観測の稼働率は20%程度にとどまったが、限られたデータを用いて観測装置の基本性能の評価をすすめ、定常観測に向けた準備を進めた。また、系統誤差の削減に向けて、一定の強度を常時入射できる人工較正源を分担者の金子を中心に立ち上げ、実際の観測環境下での原理検証を進めた。そのデータを元に、次世代地上実験「Simons Observatory」での較正源のデザイン検討にも着手をしている。
並行して代表者の長谷川と分担者の西野を中心として、Simons Array 2台目(米国機関にて準備中)のインテグレーションにも参入をし、それぞれ光学素子の反射防止膜、データ取得システムの立ち上げで貢献をし準備機関の短縮をはかった。２台目は現在チリに輸送され、来年度早々に望遠鏡への組み込みおよび観測開始を目指す。分担者の南は、将来の衛星実験に向けて観測データのみを用いた新しい偏光角較正法の提案を行い。手法の定式化をおこなって論文として発表している。さらにSimons Arrayへの応用に向けて地上実験用の手法の開発にも着手している。分担者羽澄による、地上実験のノウハウを衛星実験に繋げるための、国際協力によるプロジェクト化も順調に進展している。
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実績で述べた通り、Simons Arrayの１台目が順調に立ち上がりつつあり、系統誤差制御のためのキャリブレータの準備・原理検証も予定通り進んでいる。また、当初米国機関のみで準備を進める予定であった２台目・３台目の準備・開発に関しても、本研究の研究メンバーが強力に参入し進めている。年明けからのCOVID-19による影響の世界的な拡大により、観測サイトが一時的に閉鎖している等のトラブルもあるが、次世代実験に向けた人工較正源のデザイン検討を前倒しで始めるなど、計画に遅れは生じていないため、概ね順調に進展している、とした。
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| 今後の研究の推進方策 |
今後はSimons Array 1台目の科学観測の早期開始と２台目の立ち上げを早々に行う。１台目に関してはサイトの閉鎖が解除されたのち速やかに海外の共同研究者も含めた国際チームを組んで現地にて再度立ち上げ作業を行う。またSimons Arrayにて偏光成分の１%のレベルでの原始重力波の探索をするのに欠かせない、機器の較正について、すでに原理検証を行なっている人工較正源の活用も含めて(系統誤差を十分抑えつつ、CMB観測時間を最大限確保する様な)観測スケジュールの確立を目指す。
将来実験に向けた活動としては、現在分担者の南を中心に行なっている、観測データのみを用いモデルに依らない角度較正の手法に関して、Simons Arrayのデータも用いつつ、原理検証を進めていく。特に将来の衛星実験でも耐えうる精度が出せるかどうかは、衛星実験の計画そのものに大きく影響すると考えられるため、結果のインパクトは非常に大きい。また、分担者の金子を中心とした人工較正源の次世代実験用のデザイン設計とプロトタイプ機を用いた検証も精力的に進めていく。
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| 次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19の世界的な影響拡大により、観測サイトを早々に閉じる必要が生じ、チリへの渡航計画が予定と比べて大幅に縮小したため次年度使用額が生じた。渡航時に予定していた計画については、サイトが再び開かれたのちに速やかに実行する予定である。本研究グループとしては、次世代実験に向けたキャリブレータの設計等の前倒しを行い、次年度も含めた研究計画に遅延が無い様にしている。
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