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2019 年度 実施状況報告書

事象の地平線スケールの動画解析で探る巨大ブラックホールの動的描像

研究課題

研究課題/領域番号 19KK0081
研究機関国立天文台

研究代表者

本間 希樹  国立天文台, 水沢VLBI観測所, 教授 (20332166)

研究分担者 笹田 真人  広島大学, 宇宙科学センター, 特任助教 (10725352)
池田 思朗  統計数理研究所, 数理・推論研究系, 教授 (30336101)
研究期間 (年度) 2019-10-07 – 2025-03-31
キーワード巨大ブラックホール / 超長基線電波干渉計 / 動画解析
研究実績の概要

今年度はこれまで開発してきたEvent Horizon Telescope(EHT)用の画像解析ツール SMILI (Sparse Modeling Imaging Library for Interferometry)の機能を拡張し、動画解析ツールの基本機能のコーディングを一通り完成させた。そして、この動画解析ツールを、EHTを想定したシミュレーションデータに適応し、動画解析の可能性および限界について評価を進めた。すでにデバッグを完了し、一定の条件下で動画解析が可能であることが確認されている。また、動画解析の限界を評価するために、動画の一致度を評価する定量的なパラメーターの検討も進めた。また解析コードの高速化についても検討し、MFISTA アルゴリズムを実装を見直すことで、3割程度の高速化が見込まれることも明らかになった。
また、EHT以外の実観測データへの適用の可能性を探るため、過去のVLBA観測データを用いてSMILIによる画像化の最適パラメータ推定の探査をおこなった。そして観測日時の異なる複数のデータセットに対して最適画像の推定を行い、銀河中心核周辺の構造の時間的変化を調べた。
さらに動画解析ソフト作成と並行して、動画が得られた際の科学解析の方向性についても検討を進めた。特に得られた動画からスピンパラメータを測定する方法についてシミュレーションに基づく詳細な検討を行い、ブラックホール周囲を回転するガスからの放射の直接成分とエコー成分の到達時間差を用いる方法を提案し、論文として出版した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

初年度の当初予定では動画解析ソフトの設計に重点を当てる予定でいたが、設計のみならず実際のコーディングが進み、画像解析ソフトの第一版として実際に動作するものがほぼ完成された。現在その評価を行っているところであり、当初の予定より若干進捗が早くなっていて、現在の進捗はおおむね順調に進展していると判断する。

今後の研究の推進方策

令和元年度に作成した動画解析ツールの評価をシミュレーションデータなどを用いて進め、動画解析の有効性と限界を見極める。そして、解析ツールを実際のEHT観測データに適用し、いて座Aスターおよび他の天体の動画解析を試み、科学的成果産出につなげる。また並行して、新しい参加局が入ったEHTの追加観測を行ってより質の高いデータを取得し、より詳細な動画解析を目指す。

次年度使用額が生じた理由

新型コロナウィルスの世界的流行の影響で、一部の海外出張を取りやめたために次年度使用額が発生した。この経費は必要な出張を次年度に行うために使用する。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2019 その他

すべて 国際共同研究 (3件) 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件) 備考 (1件)

  • [国際共同研究] MIT Haystack Observatory/Harvard/Smithsonian CfA(米国)

    • 国名
      米国
    • 外国機関名
      MIT Haystack Observatory/Harvard/Smithsonian CfA
  • [国際共同研究] The Instituto Astrofosica Andalucia(スペイン)

    • 国名
      スペイン
    • 外国機関名
      The Instituto Astrofosica Andalucia
  • [国際共同研究] KASI(韓国)

    • 国名
      韓国
    • 外国機関名
      KASI
  • [雑誌論文] Black Hole Spin Measurement Based on Time-domain VLBI Observations of Infalling Gas Clouds2019

    • 著者名/発表者名
      Moriyama K., Mineshige S., Honma M., Akiyama K.,
    • 雑誌名

      Astrophysical Journal

      巻: 887 ページ: 227.1-15

    • DOI

      10.3847/1538-4357/ab505b

    • 査読あり / 国際共著
  • [備考] Event Horizon Telescope Japan

    • URL

      https://www.miz.nao.ac.jp/eht-j/top

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公開日: 2021-01-27  

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