研究課題/領域番号 |
19KK0082
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
鈴木 大介 大阪大学, 理学研究科, 助教 (60807717)
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研究分担者 |
福井 暁彦 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 特任助教 (60632049)
阿部 文雄 名古屋大学, 宇宙地球環境研究所, 客員准教授 (80184224)
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研究期間 (年度) |
2019-10-07 – 2025-03-31
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キーワード | 系外惑星 / 光赤外線天文学 / 重力マイクロレンズ |
研究実績の概要 |
本研究は、ニュージーランド、マウントジョン天文台にあるMOA-II望遠鏡を用いて、重力マイクロレンズ惑星探査を行う。最終的には、12個の惑星を含む高増光イベントを約100イベント新たに抽出し、これらのイベントに対してすばる望遠鏡やKeck望遠鏡で補償光学を用いた高空間分解撮像観測を行い、レンズ天体の質量を測定もしくは、観測的制限を強くつけることで、銀河モデルに依存しない惑星質量関数を求めることが目的である。 3年目である本年度は、例年とほぼ同数の457個のマイクロレンズイベントを検出した。ほとんどの観測は現地観測員によって行われたが、リモート観測によるデータ取得体制も整えた。 また、2013-2018年にMOA-II望遠鏡で検出したイベントに対して、惑星シグナルの検出効率計算を引き続き進め、惑星候補イベントの詳細解析、および、イベントセレクションを実施した。 また、2007-2012年にMOA-II望遠鏡で取得したデータの統計解析から得られた惑星系の相対固有速度分布と銀河モデルから推定される分布を比較し、惑星頻度の主星質量および銀河系中心からの距離に対する依存性を調べた。これまで、銀河系中心付近においては相対的に惑星頻度が少ないかもしれないと示唆されてきたが、本研究の結果、銀河系中心からの距離依存性は強くなく、太陽系近傍から銀河系中心まで普遍的に惑星が存在することを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
統計解析における重要な要素となる、惑星検出効率計算、イベントセレクションを進めており、惑星候補イベントの詳細解析も進めている。また、惑星イベントを約50個含む試験的なサンプルを用いた質量比関数の導出も行なっている。また、過去の高空間分解撮像データの解析を共同研究で進めており、今後すばる望遠鏡およびKeck望遠鏡で取得する予定のデータ解析に適用する準備が整いつつある。観測のリモート化は完了しており、現地観測員が不在の際も観測ができるようになった。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、惑星候補イベントの詳細解析、惑星検出効率の計算、およびイベントセレクションを進める。また、過去の高空間分解撮像データの解析を共同研究としてさらに進め、解析手法を確立し、今後期待されるすばる望遠鏡、Keck望遠鏡による観測、または観測提案の準備を進める。より多くの惑星イベントのサンプルを含めるために、過去のMOA-II望遠鏡で取得したデータを含めた解析を引き続き行う。アーカイブデータにおける惑星検出効率の計算を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
2021年度もCOVID-19の影響により、ニュージーランド・マウントジョン天文台や南アフリカ天文台サザーランド観測所に渡航することができなかった。そのため、次年度使用額が生じた。経費の一部は、リモート観測化のための整備費として使用した。次年度以降は、渡航できる見込みがあり、旅費として使用する予定である。
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