研究課題/領域番号 |
19KK0086
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研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
山本 裕二 高知大学, 教育研究部総合科学系複合領域科学部門, 教授 (00452699)
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研究分担者 |
星 博幸 愛知教育大学, 教育学部, 教授 (90293737)
佐藤 雅彦 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 助教 (50723277)
中田 亮一 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 超先鋭研究開発部門(高知コア研究所), 主任研究員 (50726958)
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研究期間 (年度) |
2019-10-07 – 2025-03-31
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キーワード | 地磁気 / 古地磁気強度 / アイスランド / 火山岩 |
研究実績の概要 |
アイスランドは古地磁気を研究する上でユニークな場所である。氷河や河川に侵食された渓谷には、容易にアクセスできる数百もの溶岩が露出し、地溝帯に向かって緩やかに傾斜しており、過去の地球磁場の変動を復元するための理想的な候補地である。
アイスランド西部のボルガルフィヨルズル地域にある Lundarreykjardalur 渓谷の 18 km の横断面に沿った 14 セクションの約 250 枚の溶岩から合計約 1600 枚の試料を測定し、古地磁気方位を解析した。これは、この時代の溶岩が記録したフィールドの変化に関する最も詳細な記録の一つを提供するものである。一連の逆極性溶岩と正極性溶岩を、約 4.3~3.1 Ma の地磁気極性時間スケール(GPTS)内の年代に割り当てることができた。放射アルゴン年代測定の結果と組み合わせると、C3n.1r/Cochiti (GPTS age, 4.300 Ma), Cochiti/C2Ar (4.187 Ma), C2Ar/C2An.3n (Gilbert/Gauss, 3.596 Ma), C2An.2n/Kaena (3.116 Ma) の反転境界を記録し、Mammoth subchronは欠落していることが確認された。一連の溶岩に記録された仮想地磁気極(VGP)の分布とその分散は、地心軸双極子仮説による地球磁場の振る舞いと一致するが、VGPの分散は年代によって異なる可能性があることが示された。このことは、地球ダイナモの長期的な変動の理解に影響を与える。
さらに新しい年代期間の変動を明らかにすることを目的に、Lundarreykjardalur 渓谷の南方に位置する Englandrhals 地域の溶岩層序群からの追加試料採取も進めるとともに、予察的に採取していた試料群と併せて古地磁気方位測定を継続した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
コロナ禍による渡航制限等が続き、代表者・分担者がアイスランドに渡航する形での野外調査が全く実施できず、アイスランド大学共同研究者に依頼して野外調査・試料採取を進めたが小規模に留まったため。
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今後の研究の推進方策 |
アイスランドにおけるコロナ関連の規制が撤廃されつつあるため、代表者・分担者がアイスランドに渡航する形での野外調査・試料採取の再開を目指す。依然として、コロナ禍による渡航制限等の見通しは不透明な部分も大きいため、渡航できない場合は既に採取済みの試料の分析を主体に進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍による渡航制限等のため、アイスランドにおける野外調査を実施できなかったため。アイスランドにおけるコロナ関連の規制が撤廃されつつあるため、代表者・分担者がアイスランドに渡航して実施する野外調査・試料採取や、採取試料の実験・分析を効率的に進めるための非常勤職員の雇用などのために使用する予定である。
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