研究課題/領域番号 |
19KK0088
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
守屋 和佳 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 教授 (60447662)
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研究分担者 |
西田 梢 筑波大学, 生命環境系, 特任助教 (10708374)
佐藤 圭 金沢大学, GS教育系, 講師 (40780036)
石村 豊穂 京都大学, 人間・環境学研究科, 准教授 (80422012)
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研究期間 (年度) |
2019-10-07 – 2023-03-31
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キーワード | アンモナイト / 白亜紀/古第三紀境界 / 絶滅 / 生活史 |
研究実績の概要 |
2021年度は,本研究計画の日本側研究者のうち,研究代表者および分担者に加え,数名の研究協力者がポーランドに渡航し,ファウスティアンカ地域を対象とした地質調査を予定していた.ファウスティアンカ地域およびチェンストホバ地域には,ジュラ系の泥岩を掘削する採泥場が多く存在し,これらの採泥場において層序柱状図を作成するとともに,泥岩試料と化石試料の採取を計画していた.採取した泥岩試料は,ポーランド科学アカデミーにおいて洗浄作業を行い,微化石等を抽出することを予定していた.また,帰国後には,これらの調査によって得られた化石試料の研磨片や破断片を作成し,走査型電子顕微鏡やカソードルミネッセンス装置,エネルギー分散型X線分光装置にて,化石殻の構造や化学組成の解析を行うことを予定していた.しかし,新型コロナウィルス感染症の蔓延により,研究代表者および分担者の一部が所属する機関においては,海外への渡航が原則禁止され,また,調査地であるポーランドにおいても,2021年前半には,1日の新規感染者数が3万人に迫る状況となり,ポーランドでの調査を実施することができなかった.そこで,2016年に実施した予察調査の際に採取し,日本に持ち帰っていた試料の洗浄作業を行い,そこから,軟体動物化石の抽出を行った.2020年度に抽出済みの試料を含め,化石軟体動物殻体の酸素同位体組成の予察的分析を行った.分析には早稲田大学現有の安定同位体比質量分析計を用い,分析の精度や確度の検討を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本研究では,(1)アンモナイト類の卵,幼体殻から成体殻至るまでの殻形成水温の決定と,(2)アンモナイト類が棲息していた当時の海洋の水柱鉛直温度勾配の決定から,(3)アンモナイト類の卵,幼体から成体に至るまでの棲息水深を明らかにすることでT/J境界からK/Pg境界までのアンモナイト類の生活史の進化を議論することを目的としている.このためには,極めて保存良好な化石を採取し,それらの化学分析を行うことが必要である.そこで,2021年度は,極めて保存良好なジュラ紀の軟体動物化石を多産するポーランドでの地質調査や試料採取を行い,泥岩試料や化石試料を採取し,それらを日本に輸送し,日本で地球化学分析を行うことを計画していた.しかし,2020年初頭から,新型コロナウィルス感染症が世界中で蔓延し,研究代表者および分担者の一部が所属する機関においては,一定期間のキャンパス閉鎖とともに,2020年度末までの期間,海外への渡航が原則禁止された.また,調査地であるポーランドにおいても,2021年後半には,1日の新規感染者数が3万人に迫る状況となり,ポーランドでの調査を実施することができなかった. このような事情により,研究の進捗は遅れている状況にある.
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今後の研究の推進方策 |
本事業の目的は研究開始時から変更なく,以下の3点を実施することを目指す.すなわち,(1)アンモナイト類の卵,幼体殻から成体殻至るまでの殻形成水温の決定と,(2)アンモナイト類が棲息していた当時の海洋の水柱鉛直温度勾配の決定から,(3)アンモナイト類の卵,幼体から成体に至るまでの棲息水深を明らかにすることでT/J境界からK/Pg境界までのアンモナイト類の生活史の進化を議論することが目的である.このために,アンモナイト類の化石標本を用いて,アンモナイトの1個体の標本で卵殻から成体殻までの殻形成水温の個体発生変化を解析する.次に,これらのアンモナイト類のから形成水温の比較対象群として,水深ごとに棲み分けを行っていることが既知の浮遊性有孔虫と底生有孔虫,底生軟体動物等の化石についても殻形成水温を決定し,ジュラ紀から白亜紀の海洋の鉛直温度勾配を決定する.これによって明らかになる海洋の鉛直温度勾配と,各時代および各分類群のアンモナイト類の殻形成水温を比較し,上記(3)の議論を行う.しかし,2022年3月時点では,新型コロナウィルス感染症の蔓延により,海外学術調査が困難な状況にあることから,本研究で当初計画していたポーランドにおける地質調査と化石試料採取は,新型コロナウィルス感染症に関わる渡航制限が解除された後に実施することとする.研究代表者の所属機関では,2022年4月から海外への渡航規制が緩和されたことから,2022年夏頃にポーランドでの調査を計画している.しかし,ポーランドはウクライナ情勢の影響を少なからず受けていると予想されることから,現地受入研究者と綿密な検討を重ねることとする.ポーランドでの調査が行えない間は,研究代表者や協力者がこれまでの研究により採取してきた本邦や欧米産の試料の解析を行い,ポーランドで産出することが期待される化石の比較対象となるデータの取得・蓄積を行う.
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次年度使用額が生じた理由 |
2021年度は,研究代表者,研究分担者および複数名の研究協力者が,本事業の共同研究者の所属機関であるポーランド科学アカデミーを訪れ,ポーランドにて,地質調査および試料採取を行う予定であった.このため,2021年度の使用予定額の多くは,ポーランドへの渡航費,滞在費,試料採取用具等の消耗品や,採取した試料の日本への輸送費が大半を占めていた.しかし,新型コロナウィルス感染症の蔓延により,2021年度は,ポーランドでの調査が行えなくなったことから,次年度使用額が生じた.本事業計画の実施内容自体は変更せず,新型コロナウィルス感染症に係る渡航制限が緩和された後,ポーランドでの調査を予定している.したがって,次年度使用となった額については,ポーランドへの渡航が可能になり次第,渡航費等として使用する計画である.
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