研究課題
本研究ではモンスーンシステムの変動パターンの理解を深める為、今より暖かい時代の熱帯インド洋・西太平洋における古モンスーンの変動を微古生物学的な手法で復元する事を目的にしています。熱帯インド洋・西太平洋ではモンスーンの強度は水温躍層の水深に大きく影響するため、本研究課題の第一の目的は熱帯インド洋と西太平洋で珪質微化石の相対頻度を元に、適切な表層水温・亜表層水温を復元する手法を開発して過去の水温躍層の水深の復元を可能にする事です。そこで昨年度はドイツの研究船Sonneが2015年に北西オーストラリア沖で採取した30個の表層堆積物の処理を行い、資料中の珪質微化石の群集の変化を分析した。さらに海域で既に公表されているデータとのコンパイルを行った。化石データから水温を復元する為、主に統計的な手法で温度を復元しました。各種の水温との相関を測って、そう感あるものを選択し、重回帰分析で表層水温、亜表層水温を復元できるか検討しました。結果として熱帯東インド洋では亜表層水温をおよそ1℃の誤差で復元することが可能になり、亜表層水温はおよそ0.7℃の誤差で復元ができました。他の地球化学指標とも比較して値が近い事も明らかになりました。現段階では論文の執筆中です。次の段階では過去40-170万年前の時代をカバーするコアを分析して開発した指標を応用します。なぜならおよそ80-120万年前の時代は大きい寒冷化として知られています。そこでその寒冷化の前後のモンスーン変動の理解は今より温暖な地球のモンスーン変動メカニズムの理解につながります。次の段階は1000万年より古い時代での応用となります。
2: おおむね順調に進展している
適切に表層水温と亜表層水温の復元が可能になりましたので水温躍層の水深を復元できることが明らかになりましたので本課題で目的にしている古モンスーン変動の復元も期待できると思います。特に今回は先行研究よりシンプルな手法で適切に水温の復元が可能になりましたのでより広い応用ができると思います。
今年度の目的はIODPU1483の放散虫化石データの解析を行い過去40-170万年前の古オーストラリアンモンスーンの変動を復元して議論する事を目的にしています。IODPサイトU1483のコア試料を180固処理して、化石の群集の変化から表層水温・亜表層水温を復元して、水温躍層の水深の変動を復元していく予定です。地球化学的指標との比較の為、可能であれば2週間程度ドイツに滞在します。今の所は2021年の3月中旬を予定しています。
論文の受理が予想より一月遅れて使用するべき予算が余りました。
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Geology
巻: 48 ページ: 未定
https://doi.org/10.1130/G47393.1