研究課題/領域番号 |
19KK0092
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
森下 知晃 金沢大学, 地球社会基盤学系, 教授 (80334746)
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研究分担者 |
沢田 輝 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 特任研究員 (10845100)
谷 健一郎 独立行政法人国立科学博物館, 地学研究部, 研究主幹 (70359206)
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研究期間 (年度) |
2019-10-07 – 2023-03-31
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キーワード | 太古代 / 超苦鉄質岩 / 大陸地殻 / ジルコン / 鉄の濃集 / 変成作用 / 交代作用 |
研究実績の概要 |
1)30億年前地質帯中に産する超苦鉄質岩体の交代作用履歴:野外観察、岩石記載、岩石化学分析により、周囲の変成岩などの影響を受けて鉱物組み合わせや化学組成の変化を受ける交代作用が2種類、及び、これらの影響から離れた場所においても、3種類の交代作用を受けていることを明らかにした。それぞれの交代作用の影響を評価し、超苦鉄質岩石の全岩化学組成まで影響を受けていることを明らかにした(国際研究雑誌に投稿中:Nishio, Morishita et al., Jour. Petrol.)。 2)38億年前の地質帯中に産する超苦鉄質岩石の変成履歴を明らかにし,超苦鉄質岩石が蛇紋岩化→脱蛇紋岩化→蛇紋岩化の履歴を受けていることを明らかにした (投稿中:Guotana, Morishita et al., Geoscience Frontiers)。 同じ地質帯中に産する小規模岩体について再検討し,上記の岩石とは異なり、より火山岩的特徴を有していることを明らかにした。カンラン石中の微細組織から、これらの岩石が含水条件下で形成されている可能性を指摘した。 3)世界最古のクロミタイトを含む超苦鉄質ー苦鉄質岩体のジルコンのU-Pb年代測定、Hf同位体測定、酸素同位体測定を行った。年代値は、カンラン岩体の形成年代よりも若い時期を示し、これらは、周囲の変成岩や花崗岩の影響を受けて改変したものである可能性を明らかにした。また、Hf同位体比からはこれまで報告されていない太古代の溶融履歴の証拠が残されている可能性があり,現在慎重に論文を準備している。 4)38億年前地質帯中の蛇紋岩化・炭酸塩岩化に伴う鉄の挙動について検討した。その結果、大規模蛇紋岩化に伴う流体の継続流入によって岩体中の鉄が流体に濃集し、その結果、磁鉄鉱の濃集を伴う磁鉄鉱脈の形成が起きていることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本来は野外調査を行う予定であったが、調査を行えない状態であったため。
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今後の研究の推進方策 |
野外調査:比較的短時間で野外調査を終了することが可能なように、研究目的にあった調査地域の再検討と移動手段について検討し、短時間で有効な野外調査結果を得る。 化学分析:鉱物の局所微量元素分析装置であるLa-ICPMSに関して、Laser照射による試料回収の精度向上、及び、質量分析装置を改良し、化学分析の効率を高くする。 化学分析試料:これまでの分析試料を再検討し、野外調査に行けない場合でも、ある種の目的を達成できる可能性の高い岩石を選別し、研究を推敲していく。 化学成果まとめ:オンライン会議を活用し、これまでの研究成果の総括を行い、次の科学計画の立案を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
海外での野外調査・サンプリング、及び共同研究者の海外派遣が中止になったため。
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