研究課題/領域番号 |
19KK0095
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
内一 哲哉 東北大学, 流体科学研究所, 教授 (70313038)
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研究分担者 |
武田 翔 東北大学, 流体科学研究所, 助教 (10826225)
榎 浩利 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エネルギー・環境領域, 主任研究員 (90160374)
飯島 高志 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エネルギー・環境領域, 上級主任研究員 (90356402)
Kim Hyunjeong 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エネルギー・環境領域, 主任研究員 (00614645)
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研究期間 (年度) |
2019-10-07 – 2022-03-31
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キーワード | 材料評価 / 破壊 / 非破壊評価 / 水素脆性 / オーステナイト系ステンレス鋼 |
研究実績の概要 |
本研究課題では,相変態の観点からのオーステナイト系ステンレス鋼の水素脆性のメカニズム解明をマルテンサイト変態の観点から解明するために,水素脆性評価試験時にマルテンサイト変態のその場観察を定量的に行う新しいシステムを開発し,相変態のモニタリングを行う. 磁気光学効果磁気センサを用いた高分解能マルテンサイト電磁可視化システムを開発するために、令和 元年度は渦電流試験プローブを用いて水素チャージ試験片の測定を行い,システムの設計を行った.具体的には,水素曝露したオーステナイト系ステンレス鋼試験片を用いて疲労試験片を作製し,疲労亀裂周辺の信号を取得した.電磁場解析を用いて,亀裂周辺の透磁率分布と亀裂接触抵抗の再構成を行い考察を行った結果,水素チャージにより,亀裂周辺のマルテンサイト変態が抑制されることと,擬へき開破面により亀裂面が接触ていることを確認した. フランス INSA-Lyon において,上記の試験片の材料分析を行った.EBSD分析により亀裂周辺のオーステナイト相とマルテンサイト相の分布を評価し,水素チャージによるマルテンサイトの抑制を確認した.また,X線トモグラフィー観察により水素チャージによる亀裂の接触と破面形態の変化確認した. 以上の結果は電磁特性のモデリングにより得られた知見と整合している. 以上の知見に基づいて,高分解能マルテンサイト電磁可視化システムに求められる分解能を求め,システムの仕様を決定した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は,研究代表者のグループメンバー,本研究の連携機関であるINSA-Lyon (リヨン・フランス)の研究者,国内分担者である産総研・水素材料グループのメンバーと,INSA-Lyon にてプロジェクトミーティングを行い,研究目的と研究計画の確認を行い,共同研究を開始している. 研究代表者は,INSA-Lyon に設置されている東北大学流体科学研究所リヨンセンターに滞在し,大学院生らと共同研究を推進した.特に,水素チャージ試験片のEBSD分析,X線CT分析はINSA-Lyon 研究者の指導の下,大学院学生が実施している.INSA-Lyon 研究者とともに,本年度の主要な研究実施項目である高分解能マルテンサイト電磁可視化システムの設計も終えている.
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今後の研究の推進方策 |
令和2年度も,引き続き日本側研究者のINSA-Lyon での共同研究の実施と,INSA-Lyon 側の研究者を日本に招聘することを予定していた.新型肺炎の影響で,渡航が制限されているため,Web会議などを実施しながら,共同研究を進めていく.必要に応じて,試験片の郵送などで対応する.
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次年度使用額が生じた理由 |
フランス INSA-Lyon から2名研究者を招聘することを予定していたが,新型肺炎の影響で招聘が取りやめとなった.また,フランス側研究者とシステムについて打合せを行い,電源等の構成部品を購入する予定であったが,招聘の中止により実施できなかった.今後,Webによる打合せによりシステムを確定させ,電源などの部品を購入する.
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