| 研究課題/領域番号 |
19KK0097
|
|---|
| 研究機関 | 東北大学 |
|---|
研究代表者 |
丸田 薫 東北大学, 流体科学研究所, 教授 (50260451)
|
|---|
| 研究分担者 |
中村 寿 東北大学, 流体科学研究所, 准教授 (40444020)
森井 雄飛 東北大学, 流体科学研究所, 助教 (50707198)
|
|---|
| 研究期間 (年度) |
2019-10-07 – 2025-03-31
|
| キーワード | 大規模解析 / 燃焼 |
|---|
| 研究実績の概要 |
米国発の超大規模数値解析ライブラリと，これと高親和性の研究分担者による計算高効率化手法とを組合せ，世界の著名研究者と連携する．当グループ独自のマイクロ燃焼現象を標準現象として採用し，モデル更新及び高効率化を継続可能な共同開発環境を整備，モデルベース燃焼研究の高度化を図る．既存燃焼モデルでは対応できない排出ガス予測や超高効率燃焼技術開発に必要なマルチスケール燃焼モデルを構築する．開発ソフトウェアを用い，次世代燃焼技術として期待される非平衡プラズマアシスト燃焼の数値解析技術を確立する．開発ソフトウェア群は公開し，本研究終了後も世界の研究者と連携してソフトウェア高度化を継続可能な環境を整備する.
2019年度には，共同研究についてLuc Vervisch教授との打ち合わせを対面で２度実施した．現在も進捗に関して定期的にやりとりを継続している．米国発の超大規模数値解析ライブラリと申請者らによる計算高効率化手法との組合せは完了し，他大学で実施された実験と比較する検証を実施している．また，さらに大規模の解析の実現に向けて，高次精度化により解析効率を大幅に向上させることが可能と考え，複雑な形状にも適用可能な手法の組み込みについて調査および実装を開始している．
|
| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
米国で開発されたオープンソースの超大規模数値解析ライブラリAMReXと分担者らによる化学反応計算高効率化手法を組合せたソフトウェアの開発を概ね完了し，従来手法では解析が非常に難しい規模の燃焼解析の実施を可能とした． 2019年度は，次世代自動車エンジンの高効率化にとって最も重要な要素であるノッキングの現象理解を通じた抑制に着目，既存の実験を比較対象とした２次元直接数値解析を実施した．数値解析結果は，実験で得られた圧力履歴および可視化画像と全体像がよく一致することが分かった．また，実験に関して公開されている可視化画像と圧力履歴のデータに加え，本数値解析では化学種分布など実験では取得が困難なデータも抽出できており，分析の進捗に伴い，今後のエンジン・ノック抑制に重要な知見が得られると期待される． 2019年度に開発したソフトウェアによる予測性能析が良好であることから，他の高効率計算手法についても調査を始めている． 計画に含まれる仏訪問については，コロナ禍の収束状況を見ながら進める予定である．
|
| 今後の研究の推進方策 |
2019年度の渡仏は延期されたが，研究に関する打ち合わせはすでに数回実施，またソフトウェアの開発も実施できた．今後も当初計画通り進める予定だが，2020年度の渡仏に関しては可能になり次第実施する予定である．
2020年度は，FREIの実験およびデータの整理を中心に，ソフトウェア開発を進める予定である．当初の計画通り，2021年度はFREIの実験及び数値解析を様々な燃料で実施し，開発ソフトウェアの精度検証を行う．数値解析のさらなる高精度化に向けて化学反応機構を修正するため，研究分担者1名がNUIGのHenry Curran教授の研究室に滞在して研究を実施する．その後，大規模燃焼解析を実施し実験結果との比較を行う．精度検証を進め，プラズマを含まない燃焼解析ソフトウェアとして開発を完了し，開発ソフトウェアを公開する．2022年度には非平衡プラズマを用いた高乱流場条件での着火から火炎伝播に至る実験研究を進める(別予算)ことに加え，研究分担者のうち1名が米Princeton大学のYiguang Ju教授の研究室に滞在し，非平衡プラズマを用いた燃焼解析ソフトウェアの開発を進める．さらに別の分担者1名が仏CORIAに滞在し，実験データをLuc Vervisch教授のグループと共有しプラズマ解析モデルを構築する．2023年度には，前年度までの知見をもとに非平衡プラズマ燃焼実験を再現する．また，実用燃料は多種成分の混合物であることから様々な燃料に対する非平衡プラズマ反応のモデル化を実施する．解析速度のさらなる向上に向けて分担者が米国Lawrence Berkeley National LaboratoryのMarc Day博士の研究室に滞在してソフトウェアの高速化を実施する. 2024年度: 開発ソフトウェアを用い，本研究の代表・分担者ら及び国際共同研究者らとで解析を実施し，問題点を洗い出し，モデルのアップデート及び高速化を進める．分担者らはLBLのMarc Day博士の研究室に滞在し開発したソフトウェアを整理し，全世界に公開する.
|
| 次年度使用額が生じた理由 |
2019年11月に開催された東北大学流体科学研究所が毎年主催する国際会議International Conference on Flow Dynamics (ICFD)にて，招へいしたLuc Vervisch教授と今後の打ち合わせを実施した．ソフトウェア開発にあたり，担当大学院生二人とともに2019年12月にLuc Vervisch教授が所属するINSA Rouen Normandie / CNRS CORIAにて共同研究の打ち合わせおよび共同研究の実施を予定していたが，フランスでストライキが発生したため，ベルギーで開催された講習会に参加し，その後，今後の研究に関して研究分担者が打ち合わせを実施した．フランスでのストライキが落ち着いた後に渡仏する予定であったが，コロナウィルスの影響で渡航が再度延期となっており，繰越することとなった．2020年度は渡航が可能となり次第渡仏し研究を実施する予定である．
|
