研究課題/領域番号 |
19KK0106
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
甲山 治 京都大学, 東南アジア地域研究研究所, 准教授 (70402089)
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研究分担者 |
小川 まり子 京都大学, 東南アジア地域研究研究所, 助教 (00785719)
亀田 尭宙 国立歴史民俗博物館, 大学共同利用機関等の部局等, 特任助教 (10751993)
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研究期間 (年度) |
2019-10-07 – 2023-03-31
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キーワード | 熱帯泥炭地 / インドネシア / 火災 / 水文・気象情報 |
研究実績の概要 |
広大な未利用可耕地として世界の注目を集めている熱帯泥炭湿地の利用において,最大の 課題は火災予防である.火災が発生すると,大量に蓄積された有機物が長期間にわたって燃え続け,膨大な量の二酸化炭素を放出するのみならず地域住民の健康や地域経済に大打撃を与えている.政府,企業,住民も含めて泥炭地火災の危険性を理解しているにもかかわらず,なぜ火災が発生してしまうかということである.問題の核心に迫るためにハードおよびソフト面から様々なアプローチを行い,火災防止という成果を地域へと還元すべく,災害および水文・気象情報管理システムの構築と,地域社会への双方向型の情報発信を行う. 2019年度は2009年以降継続的に水文・気象観測を行っているインドネシア国スマトラ島リアウ州ブンカリス県において,火災リスクの評価を行うためこれまでの観測データ整理と気象レーダーおよび雨滴計の設置を行った.2020年2月にはイスラム学校ブンカリス校の屋上にレーダーを設置し,観測で得られたデータをインドネシア技術評価庁とブンカリス県環境局への提供を開始した.2019年10月と2020年にはイスラム学校にてセミナーを開催し,火災や大気汚染などの災害および水文・気象情報管理システムに関する議論を行った.特に2019年のエルニーニョ,エルニーニョモドキ,ダイポールモードの推移と,2019年後半の深刻な森林火災煙霧を解析した.今後の火災においては,気象レーダーによる降雨解析が重要であることを明らかにした.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2019年度は観測データ整理と気象レーダーおよび雨滴計の設置を行った.2020年2月にはイスラム学校ブンカリス校の屋上にレーダーを設置し,観測で得られたデータをインドネシア技術評価庁とブンカリス県環境局への提供を開始した.2019年10月と2020年にはイスラム学校にてセミナーを開催し,火災や大気汚染などの災害および水文・気象情報管理システムに関する議論を行った.現在2019年のエルニーニョ,エルニーニョモドキ,ダイポールモードの推移と,2019年後半の深刻な森林火災煙霧を解析し,レポートの作成を進めている.
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今後の研究の推進方策 |
インドネシアでは,経済発展に伴い科学技術研究面でのインフラ整備も急激に進みつつあるが,実社会への応用はなお未完成である.本研究の手法・成果が次段階で本格的に定着・活用され,複雑な熱帯泥炭地域の諸過程の完全な理論・モデル化を経てさらに大きな成果に昇華するためには,充分な経験・実績のある日本の研究者が現地協力者と密接に連携しながら,インドネシア側への技術移転を行うことが必須である.今後は現在設置した気象レーダーや自動気象観測システム,衛星解析等を組み合わせることで,地域社会への双方向型の情報発信を試みる予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
2019年度は気象・水文観測機器,国際会議開催費と海外旅費を他の研究経費から支出したために,大幅な繰り越しとなった.2020年度に観測機器を購入する.
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