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2020 年度 実施状況報告書

多孔質材料中の二相熱流体挙動の解明とその相似則を用いた高精度数値解析手法の確立

研究課題

研究課題/領域番号 19KK0109
研究機関熊本大学

研究代表者

椋木 俊文  熊本大学, 大学院先端科学研究部(工), 教授 (30423651)

研究分担者 大谷 順  熊本大学, 大学院先端科学研究部(工), 教授 (30203821)
才ノ木 敦士  熊本大学, 国際先端科学技術研究機構, IROAST准教授 (70802049)
研究期間 (年度) 2019-10-07 – 2023-03-31
キーワードオイルサンド / 多孔質材料 / 高粘性流体 / X線CT画像解析
研究実績の概要

今回使用する試料は,カナダ産のコアサンプルである.ビチューメンは,温度15~18℃において粘性が一般に10Pa・sと高粘性流体ではあるが,油分の揮発防止などの観点から冷凍保存されている.今回,まずオイルサンドから砂分のみを抽出し,その砂の物理特性を調べる実験とオイルサンドの状態で粒子の堆積状況と間隙構造を評価するためにマイクロX線CTスキャナを用いて画像解析による物理量の評価を実施した.冷凍状態のコア端部をのこぎりで丁寧に切り落とし,ここからまずCT撮影用に内径10mmの肉厚は薄いアルミチューブを使って直径10mm高さ20mmの供試体を採取した.次に残った試料をメタノールを用いて洗浄し,砂とビチューメンを分離した.また取り出した砂に対して土粒子密度試験と粒度試験を行った.コアから抜き取った供試体のCT画像から無拘束状態のオイルサンドの間隙率,粒子形状,間隙構造を評価した.
マイクロCT画像のような高解像度な画像解析において,領域分割による材料の定量評価が可能となる.領域分割とは,この各材料を代表するCT値の境界値を決めることである.本研究では空間情報を損なわずに分轄するMaker-controlled Watershedと呼ばれる方法を使って分轄できる.黄色と緑の領域の総和が間隙体積に相当することから,間隙比を求めることができ,オイルサンドの土粒子密度から供試体の間隙率と乾燥密度は42.8%と1.48g/cm3と求めることができた.本研究では粒子の形状を評価するためにWadellの球形度(Sphericity)を用いて、オイルサンド粒子の球形度を画像解析した。その値は0に近いほど複雑で1に近づくほど球体に近いということになる.オイルサンドの球形度は0.6-0.8付近に分布していることがわかり,粒子形状が球形よりも複雑な形状をしていることが分かった.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

世界的コロナウィルス感染拡大のため、研究代表者が共同研究相手先を訪問するというアクションが起こせない点があるものの、メールやテレビ会議システムを使って、何とかコミュニケーションを図り、研究を進めている状態である。この点において、計画がやや遅れていると報告している。また、この研究のコアとなるオイルサンドを入手する必要があったが、共同研究先のテレワーク環境の影響も重なって、従来よりも半年遅れてコアサンプルが入手できた。そのため、コアサンプルの物性評価に留まる実験となっており、2020年度に完成を計画していた実験装置については2021年度に計画をずらしている。
上記の遅延事項のほかに、オイルサンドコアのCT撮影を行い、その間隙構造の画像解析を実施した。また。ビチューメンの粘性をシロップで模擬したシロップサンドを開発し、それを用いた模擬VPAEX実験を実施し、その現象を有限要素法で評価する研究を行った。さらに、二相流格子ボルツマン法を用いてCT画像から得られた砂の間隙創造データを対象に二相流動シミュレーションを実施し、油の流動挙動を評価する研究を実施した。

今後の研究の推進方策

当初計画していた実験装置については、2020年度を計画していたが、その後の議論で修正する点が出てきたため、2021年度完成予定で現在研究活動を進めている。2020年度にオイルサンドをCT撮影するためのノウハウをおよそつかんだのに加え、2021年度から新たに高出力マイクロフォーカスCTスキャナとナノフォーカスCTスキャナが導入されたことを機に、オイルサンドの細粒分の性状を観察する研究を加速させる計画である。また、ビチューメンそのものを使った実験には限りがあるため、ビチューメンに代わる高粘性流体として、高粘度に調整したシロップを作製し、シロップサンドを用いてオイルサンドの挙動を模擬することにより、実験を推進する計画である。

次年度使用額が生じた理由

世界的コロナウィルス感染拡大の影響で共同研究先のロックダウンが続き、しばらくコミュニケーションが取れない時期が続いた。また出張旅費を全く消化していないため、その予算を先送りする必要がある。加えて実験装置の開発に関する具体的な議論がスムーズにできず、また当時の自分の愛でだけではいくつか懸念事項もあったため、装置の開発を延期した。2021年度の旅費と実験装置の開発費を確保するため、2021年度執行計画に予算を計上している。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2021 2020

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 図書 (3件)

  • [雑誌論文] LNAPLの温度依存性に着目した地盤内残留LNAPL回収効率の変化2021

    • 著者名/発表者名
      塩田絵里加,竹中亮,椋木俊文
    • 雑誌名

      土木学会論文集C(地圏工学)

      巻: 77 ページ: 18-31

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 液液二相流格子ボルツマン法と画像解析による多孔質体中のLNAPL流動機構の評価2020

    • 著者名/発表者名
      山本菜月,椋木俊文,塩田絵里加,佐藤宇紘
    • 雑誌名

      地盤工学ジャーナル

      巻: 15 ページ: 551-561

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [図書] ビチューメン回収問題を対象とした砂中の高粘度流体の拡散・溶解現象の有限要素解析2021

    • 著者名/発表者名
      羊 嘉曦
    • 総ページ数
      20
    • 出版者
      熊本大学大学院土木建築学専攻
  • [図書] X線CT画像解析によるオイルサンドの物理特性の評価に関する研究2021

    • 著者名/発表者名
      阪本凌雅
    • 総ページ数
      15
    • 出版者
      熊本大学工学部社会環境工学科
  • [図書] LBMを用いた多孔質構造体内の二相流動解析による残留LNAPL輸送機構に関する研究2021

    • 著者名/発表者名
      立道大成
    • 総ページ数
      15
    • 出版者
      熊本大学工学部社会環境工学科卒業論文

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公開日: 2021-12-27  

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