研究課題/領域番号 |
19KK0111
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
上北 恭史 筑波大学, 芸術系, 教授 (00232736)
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研究分担者 |
藤田 香織 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 教授 (20322349)
マルティネス アレハンドロ 京都工芸繊維大学, デザイン・建築学系, 助教 (50807815)
石川 達也 北海道大学, 工学研究院, 教授 (60359479)
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研究期間 (年度) |
2019-10-07 – 2023-03-31
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キーワード | 木造教会堂 / 校倉造 / ウクライナ / ポテリッチ / 地盤調査 / 東ヨーロッパ / ログハウス / 世界遺産 |
研究実績の概要 |
本研究はウクライナの校倉造木造教会堂保存のために、1)凍土地盤による斜面崩壊のメカニズムの解明、2)校倉造木造建造物の劣化メカニズムの解明、および3)凍土による斜面崩壊への対策と校倉造木造教会堂への修理方針の検討、を行うため、本年度はまずポテリッチにある聖神降臨聖堂敷地へのボーリングによる地盤調査を行う予定であった。しかしながらコロナ感染症対策のために外国調査を行うことができず、ボーリング調査をウクライナの地盤調査会社に委託することになった。 ボーリングによる土壌サンプリングの目的は、木造教会堂に変形をもたらしていると想定される斜面の地盤崩壊の原因を特定するためである。聖神降臨聖堂の敷地は小高い山の斜面に位置しているが、ソ連時代に斜面の裾を農道造成のために切削している。教会堂の敷地は裾から5メートルほどの高さにあり、教会堂敷地から深度5メートル以上のボーリングが必要と考えられる。 ボーリング切削により抜いたコアは、流動性・不安定性の原因になる粘土層を把握するために、砂、シルト、粘土状態を調べる粒径試験および1メートルあたりの含水比試験を行う。特に流動面と思われる不均質個所の特定を進める。教会堂は中央部分の壁面に亀裂がみられるため教会堂の斜面上部と斜面下部の挙動が異なると想定され、そのためボーリングは少なくとも斜面の上部と下部の2か所で切削する必要がある。深度は5メートルから10メートルほどが必要である。 これらの条件を整理し、国際共同研究の相手方共同研究者を通してウクライナの地質調査会社に依頼している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2019年10月から研究を開始したが2020年1月から始まったコロナ感染症のために、ウクライナの調査対象地に赴けない状態が続いている。またウクライナでもコロナ感染症拡大のため国際共同研究の相手方研究者も十分に活動できない状態が続いている。ウクライナでは2021年4月からワクチン接種が始まり新規感染症数は減少を始めている。ウクライナ国内の都市のロックダウン解除、行動制限の緩和に伴い、地質調査会社によるボーリング調査をようやく始められることになる。
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今後の研究の推進方策 |
研究開始から1年半がたつがまだ現地へ赴いて調査を始められない状態である。2021年度にはコロナ感染症のためのワクチン接種がウクライナと日本の両国で始まり、外国調査のための渡航制限解除を待っている状態であるが、渡航制限解除までは基本的に調査を延期する状態にある。そのため研究開始から外国渡航制限の期間分を研究期間の延長とし、調査及び分析の時間に充てることを計画している。現状を見ると2年ほど研究期間の延長が必要である。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ感染症の小康によって外国調査の可能性を待っていたが、2021年5月時点でまで渡航できない状態が続いている。そのため調査旅費、調査のための機材・消耗品購入費を執行できていない。 現在依頼を進めているウクライナの調査会社のボーリング調査が始まれば、その結果に基づいて、教会堂敷地の地盤状態によって地盤測定のための機器の購入を開始する。またワクチン接種の進展に伴い、ウクライナへの渡航が認められるようになれば、調査対象地に渡航し、教会堂敷地への地盤調査機器設置のための検討を行う。
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