研究課題/領域番号 |
19KK0113
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
中川 貴文 京都大学, 生存圏研究所, 准教授 (60414968)
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研究分担者 |
北守 顕久 京都大学, 生存圏研究所, 研究員 (10551400)
小松 幸平 京都大学, 生存圏研究所, 研究員 (20283674)
五十田 博 京都大学, 生存圏研究所, 教授 (40242664)
中島 昌一 国立研究開発法人建築研究所, 構造研究グループ, 主任研究員 (90734210)
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研究期間 (年度) |
2019-10-07 – 2022-03-31
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キーワード | 伝統構法 / 斗組 / 柔構造 |
研究実績の概要 |
本課題は東アジアの伝統木造建築物のもつ構法・構造上の特徴的技術を探求することで、 木材の特性を踏まえつつ発展してきた木づかいの文化への理解を深めることを主目的とする。東アジアの伝統木造建築に共通する柱上の斗組は、多数の肘木の組み合わせによって構成され、屋根荷重を下階に伝えるための重要な構造要素である。既往の研究から水平力の作用によって斗組は柱の傾斜角を低減させようとする制震効果があることが報告されているが、その学術的解明は十分ではない。本研究では日本、台湾、中国に現存する伝統木造建築を対象に構造形式を現地調査で明らかにし、接合部の構造性能を要素実験等によって定量化したうえで、屋根-斗組-柱・横架材-礎石等が緩やかに結合された伝統構法特有の柔構造のモデルが鉛直荷重を利用して水平荷重に抵抗するメカニズムを倒壊まで追える構造解析法と実大部分静的・動的実験をリンクさせて定量的・定性的に解明する。 2019年度は日本の伝統木造建築で古代から使われている頭貫の存在とその仕様の違いが、柱の傾斜復元力に及ぼす影響を明らかにすることを目的に、頭貫の仕様を4種類に、また上載荷重のレベルを2段階に変えて、柱を3本並べた1/2スケール程度のモデル架構試験体を用いて水平加力実験を実施した。三本柱-斗-頭貫で構成されたモデル架構試験体を用いた静的正負繰り返し加力実験の結果、頭貫の仕様に関わらず、その存在自体が柱傾斜復元力に寄与する割合は想像以上に大きいことが分かった。また上載荷重が小さい場合、古代仕様の頭貫が最大荷重経過後の柱傾斜復元力に寄与する程度は、近世仕様や通し貫仕様の頭貫のそれらに比べて、小さいことが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2019年度の実験では十分な成果が得られ、研究は順調に進展している。海外での打合せ・調査については渡航制限などにより一部活動が制限されている。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度も引き続き実験と解析的検討、文献調査を行う。新型コロナウイルスの感染拡大の状況をみつつ、海外研究者との連携についてはWEB会議を活用するなど推進方策を検討し、機動的に対応する。
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次年度使用額が生じた理由 |
海外における打合せ・調査等について2020年度に延期したため次年度使用額が生じた。2020年度の海外にける打合せ・調査等で執行する計画である。
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