研究課題/領域番号 |
19KK0121
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
陳 光斉 九州大学, 基幹教育院, 教授 (50293882)
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研究分担者 |
東畑 郁生 関東学院大学, 理工学部, 客員教授 (20155500)
王 功輝 京都大学, 防災研究所, 教授 (50372553)
Lu Min 九州大学, 基幹教育院, 助教 (60750007)
谷口 説男 九州大学, 基幹教育院, 教授 (70155208)
若井 明彦 群馬大学, 大学院理工学府, 教授 (90292622)
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研究期間 (年度) |
2019-10-07 – 2024-03-31
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キーワード | 不連続変形解析法 / サクション / 化学風化 / シミュレーション / 土石混合物斜面 / SPH / カップリング手法 / 開発 |
研究実績の概要 |
1.不連続変形解析法(DDA)の改良と応用に関する研究成果: ①計算領域からブロックを移動させながら、配列の整合性を保証する仮想ブロック除去アルゴリズムを提案した。②粘性土の体積収縮から乾燥割れまでの乾燥プロセスをシミュレートするモデルをDDAに組み込んだ。拘束乾燥試験を改良DDAで再現し、実験結果と比較して、粘性土の完全な乾燥プロセスの主要な特徴を捉えることができた。③DDAに基づく化学風化モデルを提案した。化学風化による微細構造の主な劣化は、多角形粒子スケルトンのセメントの損失によって表され、単軸圧縮試験を行った結果、幾何学的および接触の異質性を考慮したモデルを提案し、風化度の増加に伴う強度および変形特性の低下を特徴づけるのに適していることが示された。 2.DDAとSPHのカップリング手法DDA-SPH法の実用化に関する研究成果:①DDAと土粒子のSPHのカップリング手法においては、土石混合物斜面の力学的挙動を明らかにするために、相互作用力や衝撃力の正確な計算ができるDDA-SPH法を改良した。また、異なる形状、サイズ、岩石含有量、および斜面内で岩石の分布を考慮した一連のシミュレーションが行われた。その結果、斜面の変形は、岩石ブロックの丸みに比例し、選別係数に反比例することがわかった。また、岩石含有量が高いほど、斜面の崩壊距離と近くの建物に対する最大衝撃力が増加したことを明らかにした。②DDAと水粒子のSPHのカップリング手法においては、トンネル掘削中の主要な地質災害である湧水現象のプロセスを検証した。まず、水圧下でのブロックの臨界条件を調べ、DDA-SPH法の妥当性を確認した。また、トンネル浸水現象を再現し、岩壁の厚さ、初期水位、水出口の存在および位置に関してトンネルの力学的挙動を解明した。 これらの研究成果はインパクトファクターの高い国際誌に9篇の論文が発表された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新型コロナウイルスの影響で、共同研究の対象国(中国)で計画した現場調査や、実験の実施は実現できなかったが、中国の研究者の協力で、ソフトウェアの開発と改良が大きく進んだ。 1.不連続変形解析法の拡張改良と適用に関する研究成果は、国際誌Computers and Geotechnics(IP=5.2)に3編の論文が発表された。 2.DDA-SPH法の実用化に関する研究成果は、論文Slope stability and post-failure analysis of soil-rock-mixture using the modified 2D DDA-SPH methodが、国際誌International Journal of Rock Mechanics and Mining Sciences(IP=6.8)に発表された。 論文Dynamic modelling of soil-rock-mixture slopes using the coupled DDA-SPH methodが、国際誌Engineering Geology(IP=6.9)にに発表された。論文Dynamic simulation of the water inrush process in tunnel construction using a three-dimensional coupled discontinuous deformation analysis and smoothed particle hydrodynamics methodが、国際誌Tunnelling and Underground Space Technology (IP=6.4)に発表された。
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今後の研究の推進方策 |
1)計画の実験の実施 中国の河北工業大学で、3Dプリンターを利用して、斜面モデルを作成し、振動台実験によりPLGM地震波より斜面崩壊のメカニズムを実証する。また、成都理科大学と西南交通大学で、パルス地震動による斜面崩壊メカニズムを解明するための動的遠心装置を用いて地震による斜面崩壊の模型実験を実施する。 2)数値シミュレーション手法の高度化と実用化研究 河北工業大学、中南大学などで、①崩壊土砂の運動シミュレーション手法および土石流シミュレーション手法の高度化と実用化における研究をさらに推進し、次世代統合型土砂災害予測システムを構築する。②土の構成式をSPHに取り入れ、岩塊・流木ブロックと土・水粒子を同時に解析できる3D-DDA-SPH手法を確立し、天然ダムの形成と破壊や、岩塊・流木による家屋などの構造物への衝撃による破壊等の予測、砂防堰堤の防災効果の評価などの機能を実現する。 3)国際会議の主催 これまでの研究成果を発信するために、①10月に"the 16th International Conference on Analysis of Discontinuous Deformation" (ICADD-16) を中国成都市で主催する。② 9月に"The 14th Congress of the International Association for Engineering Geology and the Environment"のセッション “Recent development of numerical models for simulating geohazard processes and hazard chains”をオルガナイズする。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスの影響で共同研究の相手国(中国)への渡航は出来なかったので、計画した実験および人員の交流を実現できませんでした。次年度は計画された中国の大学の実験装置を利用する実験の実施、数値シミュレーション手法の高度化と実用化における共同研究を行うための旅費、国際会議の主催と参加するための旅費として使用します。
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