研究課題/領域番号 |
19KK0125
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
松田 光弘 熊本大学, 大学院先端科学研究部(工), 准教授 (80332865)
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研究分担者 |
平山 恭介 九州大学, 工学研究院, 助教 (70717743)
光原 昌寿 九州大学, 総合理工学研究院, 准教授 (10514218)
橋新 剛 熊本大学, 大学院先端科学研究部(工), 准教授 (20336184)
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研究期間 (年度) |
2019-10-07 – 2023-03-31
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キーワード | 酸化物半導体 / 酸化 / 強干渉 / マグネリ相チタン酸化物 / 形状記憶合金 / マルテンサイト変態 / ジルコニウム基合金 |
研究実績の概要 |
本研究では機能材料のなかでも環境分野を対象として,下記の2テーマに関する研究を実施する。研究3年目となる2021年度においても,研究代表者(松田)および若手研究者(平山)が共同研究先となるウィーン大学に滞在し,現地にて結晶界面に関する解析技術を習得する予定であった。しかしながら,コロナウィルス拡大による渡航規制自粛に伴い,主にメールやWebミーティングでのディスカッションに変更して,下記に示す実験結果および考察を相互に確認するとともに,今後の渡航・滞在計画について意見交換を行った。具体的な研究・実験進捗状況は次の通りである。 (Ⅰ)可視光吸収型光エネルギー変換材料の開発: 金属Zr箔に対して,酸素分圧制御システムを用いた低酸素分圧雰囲気下での熱処理により,酸素欠損を有する正方晶ZrO2-x膜が形成され,世界初となる「強干渉効果によるZrO2膜の色変化」を見出した。この結果は,膜厚と酸素欠損量を制御することで,所望の外観色に設計可能であることを示唆する。 (Ⅱ)バリアント界面移動の制御に基づく高温型新規形状記憶・超弾性合金の創製: 高温域(100℃以上)に変態点を有する等原子比組成Zr基(ZrNi, ZrPd, ZrCu)合金を作製し,それら微細構造解析を実施した。その結果,晶癖面が同一となるバリアントがペアとなって生成し,ひずみを緩和していた。また約1000℃付近に変態点を有するTi-Pt合金に強加工を加えた結果,結晶粒の微細化,結晶構造変化およびマルテンサイト変態挙動について明らかにすることができた。 上記一連の研究成果について,研究論文:1本,国際学会発表:2件,国内学会発表:2件(内学生受賞:1件)に纏めるなど,成果発表としては十分な結果を出すことができた。特に(Ⅱ)の結果に関して,国際共著論文の投稿に向けた最終仕上げの段階であり,近日中に投稿予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究3年目となる2021年度では,研究代表者(松田)および若手研究者(平山)が共同研究先となるウィーン大学に滞在し,現地にて結晶界面に関する解析技術を習得する予定であったが,コロナウィルス拡大による渡航規制自粛に伴い,メールやWebミーティングでのディスカッションに変更し,密接なやり取り等を行った。その甲斐もあって,本年度の研究成果としては,研究論文:1本,国際学会発表:2件,国内学会発表:2件(内学生受賞:1件)など,多大な成果を上げることができた。しかしながら,共同研究先となるウィーン大学に直接来訪できなかったことから,進捗状況としては,おおむね順調に進展しているといえる。研究最終年度となる2022年度には,是非とも現地に赴き,解析技術を習得・改良し,さらなる飛躍的な研究成果を目指す。
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今後の研究の推進方策 |
研究最終年度となる2022年度こそ,研究代表者(松田)および研究分担者(若手研究者)がウィーン大学に滞在し,現地にて解析技術をより正確に習得し本研究に合わせて改良する計画である。そのため,渡航時期・期間に沿って実験試料を早めに選定・作製するとともに,渡航先にてすぐに実験に取り組めるよう,メールやWebミーティングにて連携を強めておく。さらに,コロナウィルスが終息され次第,ウィーン大学研究者を研究代表者が所属する熊本大学にも招聘し,これまでの研究成果について密にディスカッションを行う。具体的な研究成果としては2022年度にて,研究投稿論文3本や特許出願も行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究代表者(松田)および若手研究者(平山)が共同研究先となるウィーン大学に滞在する予定であったが,コロナウィルスの拡大による海外渡航規制により,海外留学が不可となった。そのため,経費使途に変更が生じている。その分,コロナ禍状況をみて,随時渡航できるように早めに試料作製にとりかかるため,消耗品および備品購入の一部に充てている。また本経費にて,海外連携先から研究者を日本に招聘する予定である。
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