研究課題/領域番号 |
19KK0126
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
高鍋 和広 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 教授 (20519730)
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研究分担者 |
吉田 真明 山口大学, 大学院創成科学研究科, 准教授(テニュアトラック) (00582206)
品川 竜也 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 助教 (90850222)
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研究期間 (年度) |
2019-10-07 – 2025-03-31
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キーワード | シンクロトロン放射光 / オペランド測定 / X線吸収分光 / 固体触媒 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、反応中実際に機能している触媒活性点の状態や反応メカニズムの理解を行うため、反応雰囲気中でのin-operando測定を可能にするシンクロトロン放射光を用いた実験をスタンフォードSLACのチームと確立させ、触媒化学の理解とそれに基づいた高活性・高選択性・高寿命を示す新規触媒材料の創製を目指すことである。取り扱う触媒反応は、エネルギー問題解決に直結する高温メタン反応と、二酸化炭素還元電極反応を取り上げて研究を進めている。 本年度は、昨年度に引き続き、スタンフォードSLACのチームとの共同研究を通して、高温熱触媒反応と室温電極触媒反応のその場測定装置に関して、実験データを解析し、論文化を推進した。昨年度までに、実験手法の確立はほぼ完了し、さらに解析に重点をあてて、データフィッティングと密度汎関数を取り入れた構造解析との組み合わせを行ってきた。昨年度までに高温ラジカル反応と二酸化炭素電極還元に関わる2報の論文化を完成し投稿完了、本年度はさらに二酸化炭素電極の大電流反応に関する1報の論文を投稿、掲載された。鉄系分子触媒と、コバルト系分子触媒の比較を丁寧に行い、鉄系触媒は低過電圧で二酸化炭素還元電流が観測されるものの、生成物である一酸化炭素の強い被毒のため電流値が伸びないことを見出した。コバルト系触媒はこの被毒が弱いため、鉄系触媒のものと電流値が逆転して大きく伸びることが分かった。密度汎関数計算と組み合わせた本研究は本格的に大電流を必要とする実用化に極めて重要な知見を与えた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ハイインパクトなジャーナルにすでに3報論文を掲載しており、極めて順調であるが、COVID-19の影響で、人材交流が滞っており、ぜひ2022年度は学生を交流させたい。
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今後の研究の推進方策 |
来年度は、改めて、対象とする反応と触媒、またその観測技術を確立させたNear Ambient Pressure X-ray Photoelectron Spectroscopy (NAP-XPS)の装置、および電極触媒としてX-ray Absorption Spectroscopy (XAS)の測定装置を利用しながら、新たな挑戦を行っていきたい。シンクロトロン施設の研究実施状況がCOVID-19の影響を強く受け、先が読めないが、できるところから両機関で連携を密にして研究を邁進したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19の影響で当初の計画より出張が少なくなったため次年度使用額が生じた。来年度は、改めて、対象とする反応と触媒、またその観測技術を確立させたNear Ambient Pressure X-ray Photoelectron Spectroscopy (NAP-XPS)の装置、および電極触媒としてX-ray Absorption Spectroscopy (XAS)の測定装置を利用しながら、新たな挑戦を行っていきたい。シンクロトロン施設の研究実施状況がCOVID-19の影響を強く受け、先が読めないが、できるところから両機関で連携を密にして研究を邁進したい。
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