研究課題/領域番号 |
19KK0128
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研究機関 | 埼玉大学 |
研究代表者 |
吉川 洋史 埼玉大学, 理工学研究科, 教授 (50551173)
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研究分担者 |
新家 寛正 東北大学, 金属材料研究所, 助教 (40768983)
川村 隆三 埼玉大学, 理工学研究科, 助教 (50534591)
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研究期間 (年度) |
2019-10-07 – 2024-03-31
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キーワード | レーザーアブレーション / レーザートラッピング / 結晶化 / タンパク質 / キラリティ / 有機結晶 / 無機結晶 / プラズモン |
研究実績の概要 |
本国際共同研究の目的は、台湾および日本で独自開発された2種類のレーザー結晶化技術を基盤とした秩序構造形成法を開発し、従来の性能や機能を超える革新的材料を創成することにある。 まず2019年度は主に「レーザートラッピングとレーザーアブレーションを組み合わせた新しい結晶化制御法の開発」に取り組んだ。ここでは、海外共同研究者と研究代表者それぞれが開発してきた原理の異なる2種類のレーザー結晶化技術を組み合わせた新規手法を開発した。本手法では、光源として高繰り返しのフェムト秒レーザーを用いて対物レンズで溶液中に集光する。すると、まず最初にレーザートラッピングの効果により集光点での濃度上昇が起こり、その後に溶液のレーザーアブレーションによりキャビテーションバブルが発生する。我々は、これらの現象が相乗的に作用し、高効率で結晶化を誘起することが可能であることを見出した。また興味深いことに、結晶化後もレーザーを照射し続けると、核発生時とは異なる構造を有する結晶が生じることを発見した。条件を最適化すると、L-フェニルアラニンを用いたケースでは、準安定形から安定形だけでなく、安定形から準安定形の結晶を作製することも可能であった。このような両方向の多形制御は非常にユニークであり、レーザーを用いることで実現される新しい結晶化制御アプローチとして期待している。本成果は、国際共同研究者との共著論文としてJapanese Journal of Physical Chemistry誌に発表している。また上記の研究以外にも、レーザートラッピングによる結晶化ダイナミクスの解明(The Journal of Physical Chemistry Letters誌に掲載)や、様々な有機物・無機物の機能性材料の作製に関する研究も展開した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究代表者と研究分担者(2名)は、海外共同研究者と様々な共同研究に着手しており、一部のテーマでは既に論文発表や研究発表に至っている。また、2020年1月には日本側の研究代表者・分担者(2名)・協力者(4名)が台湾に集結し、国際共同研究を大きく推進する機会を設けたとともに、キックオフセミナーなどを通して今後の研究展開に関して議論した。これらの取り組みにより、日台間の共同研究ネットワークは質的および量的に大きく拡大しつつある。以上の理由から本研究課題は順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
現状では新型コロナウイルスの世界的感染拡大により日台間の移動が極めて困難な状況ではあるが、オンライン会議システムなども活用しつつ国際共同研究を推進していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初は本科研費研究に従事する研究者の旅費として使用する予定であったが、他の資金で賄うことが可能であったため残が生じた。そこで残額は次年度以降に本研究を加速するための費用(物品費、旅費など)に使用することとした。
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