研究課題
2021年度はCOVID-19により相手方へ渡航しての実験が不可能であったが、2020年度に引き続きリモートでの共同研究(計算、実験)環境を整備し、これを強化した。2020年度に明らかになりつつあった固体中スピン中心の位相緩和時間、特にHahnエココヒーレンス時間に対するスケーリング則と、単体材料から化合物材料におけるコヒーレンス時間の合成則について、その適用範囲と四重極相互作用による補正効果について調べた。担体材料におけるスケーリング則は、炭素の場合には10^21cm^-3程度以下の非零核スピン濃度でよく成立し、現在主流の固体中スピン中心材料の中の多くの材料について成立することが明らかになった。四重極相互作用を有する場合、準位間のダイポール相互作用による共鳴が抑制されるため、コヒーレンス時間が延長されることを明らかにした。また、その延長の度合いを四重極相互作用の強さにより定量的に明らかにした。化合物系への補正係数である、stretching exponentについては概ね2でどの場合も近似可能であることが分かった。上記計算により得られたスケーリング則は、三次元母体材料のHahnエコー信号に対するものである。今後、例えば、次元性が変わった場合(二次元系)に対するスケーリング則、dynamical decoupling、接触項による効果を共同研究により明らかにすることを計画している。液体窒素冷却の簡易低温クライオスタットを導入し、理論的に長い量子位相緩和時間を持つことが予測されたホスト材料について、イオン注入した材料の偏光PL測定を行った。ある酸化物中心において、磁場を印加しつつ低温PLを測定し、磁場の有無によりPL信号が変化することなどを明らかにした。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 3件、 査読あり 6件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (29件) (うち国際学会 17件、 招待講演 5件)
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