研究課題/領域番号 |
19KK0133
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
簡 梅芳 東北大学, 環境科学研究科, 助教 (20533186)
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研究分担者 |
菅原 一輝 成蹊大学, 理工学部, 助教 (60792405)
久保田 健吾 東北大学, 工学研究科, 准教授 (80455807)
飯塚 淳 東北大学, 多元物質科学研究所, 准教授 (70451862)
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研究期間 (年度) |
2019-10-07 – 2023-03-31
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キーワード | 合成生物学 / 生物濃縮 / レアメタル / 微生物工学 |
研究実績の概要 |
本研究の採択に先立ち、2019年9月に代表者と研究分担者の久保田、菅原と一緒に、共同研究先の台湾中央研究院生物多様性研究センター(以下生多センターと呼ぶ)に訪問し、採択後の共同研究体制を再確認した。また、採択後には、2019年11月に代表者の簡は再び台湾生多センターを訪問し、今後の派遣スケジュールのすり合わせを行なったとともに、共同研究の現状としては、①合成生物学手法を用いたモリブデン吸着酵母の作製を生多センターに依頼し、進んでいる、②その他、生多センターは現在水銀や他金属の吸着微生物の作製に取り組んでおり、その性能評価を東北大チームに依頼したい、③2020年4月を目安に東北大から学生を生多センターに派遣し、合成生物学の技術の研修を行う、とのことを確認した。 共同研究に当たって、生物試料の譲渡には、その都度試料提供契約(MTA)を結ぶこと、さらに、台湾中央研究院生多センターと今後のよりスムーズに共同研究を行うために、部局間(当該研究センターと東北大学大学院環境科学研究科)学術交流協定の締結についても話し合い、締結の合意をし、現在は締結に向けた両部局の事務手続きを進んでいる。2019年11月の訪問では、共同研究先の台湾国立中興大学の黄介辰教授の所をも訪ね、2020年の交流および学生派遣のスケジュールについて打ち合わせた。 上記の交流内容を踏まえ、2020年3月には東北大学にて国際シンポジウムを開催し、その際に台湾側の共同研究者の3人を日本に呼び寄せ、合成生物学の技術およびその環境分野への適用ポテンシャルについて、レクチャーをしてもらう予定だった。しかし、2020年初めから深刻化してきた新型コロナウィルスの世界的蔓延の状況を受け、国際シンポジウムの開催を延期し、本研究に伴う人員・生物試料の行き来が現在中止している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2019年10月に採択が決まってから、計画通りに進んできたが、2020年初(2019年末)から、新型コロナウィルスによる感染症が世界的に広がり始めたことにより、まず2020年2月から、台湾が外国人の入国を拒否・制限することになった。そのため、日本から台湾に学生・研究人員を派遣することが極めて難しくなっている。さらに、2020年3月には台湾政府が国民に対して出国を制限することを追加決定したことにより、台湾側の共同研究者を日本に招聘することもできなくなっている。以上の理由により、2020年3月に東北大学にて開催を予定していた国際シンポジウムは、止むを得ず上記の規制が緩和されるまで延期することにした。 また、新型コロナウィルスのような微生物試料の国際的郵送は、この時期においては大変好ましくないとの考慮があったため、両国間の新たな生物試料譲渡(MTA)の締結も現実では難しいくなっている。台湾側の技術提供を要し、両国の人材交流を訴える本研究の遂行には、人材や生物試料の両国間の行き来なしにはかなり難しいと痛感している。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウィルス感染症による国内および国際的な旅行規制は、当面緩和されることが難しいと考えられるため、現在は日本側において、まずレアメタルを吸着できる遺伝子情報の網羅および酵母に導入するための基礎デザイン(融合遺伝子にするやベクターに導入するための遺伝子配列の微調整)を行う。その際に、微生物だけでなく、植物由来の遺伝子も視野に入れて調査する。調査して入手可能な遺伝子は、PCRにより増幅して入手するか、日本の合成遺伝子のサービスを利用して合成して入手する。具体的なターゲットとして、これまではモリブデンの吸着遺伝子・吸着酵母の製作を成功しているが、レアメタルのニッケル、コバルトを次のターゲットとして調査を開始する。また、ゴールド、プラチナなどの貴金属についても調査の視野に入れる。 入手した遺伝子を、①日本において、既存の構築手法にて取り組む、②台湾側にデザインのノーハウを相談し、日本側にて遺伝子導入の構築を試みる、③状況を勘案し、DNA配列を台湾側に送り、台湾にて合成してもらう、との対応を考える。 生物試料や研究人員の交流を必要とするが、試料郵送の規制や人員移動の規制を確認しながら、それに合わせた対応をとる。理想としては今年度中に規制の緩和がされれば、直ちに計画した研究を再開し、遅れた進度を取り戻すことができると考える。
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次年度使用額が生じた理由 |
前述、2020年3月に予定していた国際シンポジウムの開催が延期になったため、開催費用(旅費として台湾側研究協力者3人*40万円=120万円、会場費その他費用30万円、合計150万円)および生物試料を台湾に送る、台湾から試料を郵送してもらうための郵送料(10万円)、台湾にて実験を行うための試薬購入(40万円ほど)の執行が遅れたため。 新型コロナウィルスによる感染症の規制が緩和されたら、直ちに日本から学生の派遣(1人*2ヶ月間)を予定しており、その際に試料の国際郵送料および試薬の購入費用に使用する予定である。また台湾側の研究協力者3人の先生を改めて招聘し、国際シンポジウムを開催する予定であり、その費用に当たる。
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