研究課題/領域番号 |
19KK0133
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
簡 梅芳 東北大学, 環境科学研究科, 助教 (20533186)
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研究分担者 |
菅原 一輝 成蹊大学, 理工学部, 助教 (60792405)
久保田 健吾 東北大学, 工学研究科, 准教授 (80455807)
飯塚 淳 東北大学, 多元物質科学研究所, 准教授 (70451862)
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研究期間 (年度) |
2019-10-07 – 2023-03-31
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キーワード | 合成生物学 / 生物濃縮 / レアメタル / 微生物工学 |
研究実績の概要 |
本研究が採択されてすぐ、2019年の11月に代表者の簡は共同研究先の台湾中央研究院生物多様性研究センターおよび中興大学生命科学研究科に訪問し、本研究における実施体制・協力体制を再確認した。また、本研究の核心技術となる合成生物学的手法の取得・技術移転ができるため、東北大学からは代表者の簡および博士課程の学生(留学生)1名が台湾に出向いて技術取得することを予定しており、当初は2020年の4月からおおよそ2-3ヶ月間の派遣を計画していた。共同研究に当たって、生物試料の譲渡には、その都度試料提供契約(MTA)を結ぶことを合意している。また、台湾中央研究院生物多様性研究センターと今後よりスムーズに共同研究を行うために、部局間(当該研究センターと東北大学大学院環境科学研究科)学術交流協定の締結についても話し合い、締結の合意をし、現在は締結に向けた両部局の事務手続きを進んでいる。 一方、2020年から新型コロナウィルスが世界的流行になり、台湾では一時的に海外からの入国について強い規制がかけられた。その後台湾においてはコロナウィルスによる感染を抑制でき、出入国の規制をなくしている。それに対し、日本の状況が芳しくなく、特に2020年度は外国人の出国・再入国が厳しく制限され、ほぼできなくなっている。そのため、代表者の簡と担当予定の留学生は2020年度一年間台湾に渡航することができず、また、2020年度に東北大学にて開催を予定していた国際シンポジウムについても、共同研究者が来日できないため、延期せざるを得ない状況である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2019年末から新型コロナウィルスによる感染症が世界的に広がり始めたことにより、最初は台湾側が外国人に入国規制を強化し、そのため2020年度上半期に予定していた、日本から台湾への学生・研究人員の派遣ができなくなった。また、その後日本の外国人に対する入国制限・再入国制限が強化され、台湾側の共同研究者を日本に招聘するシンポジウムの開催も延期せざるを得なかった。 2020年度は上記の理由で、台湾・日本間の人材交流およびこの交流で可能にする合成生物学技術の台湾から日本への技術転移ができなくなり、そのため本研究で計画していた金属吸着微生物の作製が遅れている。2020年に数ヶ月間、実験補佐を雇用して、微生物の組換え実験に投入したが、効率が良いとは言えなかった。台湾側の技術提供を要し、両国の人材交流を訴える本研究の遂行には、人材や生物試料の両国間の行き来なしにはかなり難しいと痛感している。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウィルス感染症による国際的な旅行規制は当面緩和されることが難しい、あるいはそれに付随するコスト(派遣前後の隔離期間とそれに要する費用)が高いと考えられるため、現在日本側においては、昨年度に引き続きレアメタルを吸着できる遺伝子情報の網羅および酵母に導入するための基礎デザイン(融合遺伝子にするため、またはベクターに導入するための遺伝子配列の微調整)を行う。その際に、微生物だけでなく、植物由来の遺伝子も視野に入れて調査する。調査して入手可能な遺伝子は、PCRにより増幅して入手するか、日本の合成遺伝子のサービスを利用して合成して入手する。具体的なターゲットとして、レアメタルのニッケル、コバルトや、ゴールド、プラチナなどの貴金属をターゲットとして調査を行う。 入手した遺伝子を、①日本において、既存の構築手法にて取り組む、②台湾中興大学生命科学研究科の協力研究者の黄先生の承諾を得て、日本から遺伝子情報およびデザインについて相談し、台湾にて遺伝子の合成または融合遺伝子の構築を協力する。出来上がった遺伝子構築を、生物試料譲渡契約(MTA)を締結する上、日本に輸送し、日本側にて形質転換およびその後の性能評価を行う、との対応を考える。 生物試料や研究人員の交流を必要とするが、試料郵送の規制や人員移動の規制を確認しながら、それに合わせた対応をとる。理想としては今年度中に規制の緩和がされれば、直ちに計画した研究を再開し、遅れた進度を取り戻すことができると考える。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年度当初では、昨年度に開催できなかった国際シンポジウムを2020年9月に延期して開催する予定をしていた。費用は旅費として台湾側研究協力者3人*40万円=120万円、会場費その他費用30万円で合計150万円を見込んでいた。また、2020年度に代表者の簡と東北大学の院生が台湾に出向き、2ヶ月間の研究を行う計画をしていた。費用は旅費・滞在費として2人*45万円=90万円、研究に使用する試薬・消耗品費・分析費を200万円、試料の国際郵送(日本・台湾往復)を20万円で合計310万円を見込んでいた。しかし、新型コロナウィルスの影響で再度延期となり、執行できなかったため、費用の執行が遅れた。 備品として、台湾にて作製した酵母の培養に新たに恒温振とう培養器(90万円)を購入する予定だったが、上記酵母の作製が遅れたため、備品購入の執行も合わせて遅れた。 使用計画として、新型コロナウィルスによる感染症の規制が緩和されたら、直ちに日本から学生の派遣(1人*2ヶ月間)をし、その際に試料の国際郵送料および試薬、備品の購入を執行する。また台湾側の研究協力者3人の先生を改めて招聘し、国際シンポジウムを開催する予定であり、その費用に当たる。
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