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2023 年度 実施状況報告書

サイト選択的化学吸着によるグラフェンナノリボンのバンドギャップアクティブ制御

研究課題

研究課題/領域番号 19KK0136
研究機関京都大学

研究代表者

猪瀬 朋子  京都大学, 白眉センター, 特定准教授 (10772296)

研究分担者 小関 良卓  東北大学, 多元物質科学研究所, 助教 (80780634)
田中 啓文  九州工業大学, 大学院生命体工学研究科, 教授 (90373191)
研究期間 (年度) 2019-10-07 – 2025-03-31
キーワードグラフェン / グラフェンナノリボン / 探針増強ラマン散乱
研究実績の概要

本年度は、昨年度報告した光誘起によってグラフェン表面上の任意位置に共有結合で分子を修飾することが可能なphoto-induced covalently modified graphene (PICM-G)を応用し、酢酸修飾型グラフェンのグラフェン増強ラマン散乱(GERS)としての有用性を評価した。酢酸分子を光誘起で表面修飾したグラフェンシートを用いて、このシート上にローダミン6Gを添加し、そのラマン散乱信号を計測したところ、表面分子修飾をしていない領域のグラフェンシート上で計測した場合と比較して、25倍程度増強されたラマン信号を得られることを明らかにした。GERSにおけるラマン増強の大きさは、グラフェンのフェルミ準位を基準とした吸着分子のHOMOとLUMOに依存すると考えられることから、酢酸修飾によるグラフェンのフェルミ順位シフトが、大きな増強をもたらしたと考察される。この結果から、酢酸を用いたPICM-GがGERS基盤であることが示唆された。
本年度は、昨年度まで解析を進めていた化学的アンジップ法で合成したグラフェンナノリボンのTERSによる電子状態評価について、smallに報告した他、GERSおよびリモート励起可能なAgNWプローブに関して学術論文に報告した。また、合計4件の国際学会で口頭発表を行い、このうちSPIEとAPC2023では招待講演を行い、プロジェクトに関連するこれまでの研究成果報告を行った。また、2023年9月に、フランスENS Paris Saclayの Prof. Rémi Métivier、Prof. Keitaro Nakatani、オーストリアTU GrazのProf. Paolo Falcaroの研究室を訪問し、光・材料化学の観点からナノワイヤープローブのさらなる改良、開発に関して議論を行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度は、これまでに計測および解析を継続的に進めてきた、化学的アンジップ法で合成したグラフェンナノリボンに存在する電子状態の不均一性に関して、smallに報告した他、表面分子修飾したグラフェンを用いたGERSへの応用およびその成果の論文報告、また国際学会で招待講演を行っている。また、プロジェクトの可能性を広げることを目的とし、ヨーロッパ内での新たな研究者との議論を進めることができたことから、おおむね順調に進展している。

今後の研究の推進方策

今後は引き続き、グラフェンナノリボン上の任意の位置へ、光誘起反応を用いた分子の表面修飾条件を検討するとともに、分子修飾に伴って起こる電子状態の変化について、TERSを用いて明らかにする。さらに、現在TERS用ナノプローブのさらなる改良を目指し、長さの異なるナノロッドの合成や、機能性材料とナノワイヤーの融合について、ヨーロッパの研究者のネットワークを広げながら取り組んでおり、新規開発するナノプローブをTERS計測に応用することで、より精度の高い計測の可能性についても検討する。また、これまでの研究成果を取りまとめ、国際学会を含む学会において研究成果の情報発信を積極的に行う。

次年度使用額が生じた理由

本研究でこれまでに得られた研究成果の論文投稿および、国際学会での発表を行うため、次年度に使用額が生じた。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2023 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)

  • [国際共同研究] ルーバン大学(ベルギー)

    • 国名
      ベルギー
    • 外国機関名
      ルーバン大学
  • [雑誌論文] A light-mediated covalently patterned graphene substrate for graphene-enhanced Raman scattering (GERS)2023

    • 著者名/発表者名
      Feng Guilin、Suzuki Nozomu、Zhang Qiang、Li Jiangtao、Inose Tomoko、Taemaitree Farsai、K. M. Muhammed Shameem、Toyouchi Shuichi、Fujita Yasuhiko、Hirai Kenji、Uji-i Hiroshi
    • 雑誌名

      Chemical Communications

      巻: 59 ページ: 11417~11420

    • DOI

      10.1039/d3cc03304j

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Remote Excitation of Tip-Enhanced Photoluminescence with a Parallel AgNW Coupler2023

    • 著者名/発表者名
      Peeters Wannes、Toyouchi Shuichi、Fujita Yasuhiko、Wolf Mathias、Fortuni Beatrice、Fron Eduard、Inose Tomoko、Hofkens Johan、Endo Takahiko、Miyata Yasumitsu、Uji-i Hiroshi
    • 雑誌名

      ACS Omega

      巻: 8 ページ: 38386~38393

    • DOI

      10.1021/acsomega.3c04952

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [学会発表] Surface engineering of plasmonic nanowire probes toward efficient intracellular material sensing and delivery2023

    • 著者名/発表者名
      Tomoko Inose
    • 学会等名
      SPIE Nanoscience + Engineering
    • 国際学会 / 招待講演

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公開日: 2024-12-25  

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