研究課題/領域番号 |
19KK0139
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研究機関 | 首都大学東京 |
研究代表者 |
野村 琴広 首都大学東京, 理学研究科, 教授 (20304165)
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研究分担者 |
中谷 直輝 首都大学東京, 理学研究科, 准教授 (00723529)
畑田 圭介 富山大学, 学術研究部理学系, 准教授 (00813700)
平山 純 京都大学, 実験と理論計算科学のインタープレイによる触媒・電池の元素戦略研究拠点ユニット, 特定助教 (10816888)
山添 誠司 首都大学東京, 理学研究科, 教授 (40510243)
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研究期間 (年度) |
2019-10-07 – 2022-03-31
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キーワード | 有機金属化学 / X線吸収分光 / 活性種解析 / 前周期遷移金属錯体触媒 / XAFS解析 / 分子触媒 |
研究実績の概要 |
本国際共同研究は、オレフィンの精密重合や選択的二・三量化の高性能分子触媒の活性種解析で、専門分野の異なる若手の研究分担者や海外第一線の物理学者と連携し、欧州放射光施設での触媒溶液のX線吸収分光測定や海外の共同研究者が開発したスペクトルの解析プログラムを通じて、溶液中の触媒活性種の電子状態・構造の解明を目的としている。 1月にCamerino大学にて、研究分担者の畑田、中谷及び平山と共同研究者のDi Cicco教授と研究方針を確認した。特に平山は同大学に滞在し、幾何構造が規定されたゲルマニウムのXASスペクトルのシミュレーションを通じ、同教授が開発したプログラムGNXASによる幾何構造の解析手法を習得した。研究分担者の山添、中谷、畑田らは、ホスフィン保護Au9クラスター及びチオラート保護Au25クラスターのAu原子および保護配位子のXANES領域のスペクトルシミュレーションに取り組み、理論計算から、Auクラスターの実際のXANESスペクトルを比較的よく再現できることを見出した。 野村と山添、中谷は、XANESやEXAFSスペクトルや理論計算を基に、ハーフメタロセン型チタン錯体によるオレフィン重合やシンジオ特異的スチレン重合における活性種解析に取り組み、オレフィン重合は4価のアルキルカチオン種、スチレン重合はアニオン性配位子を有する中性の3価種が重合における活性種となることを明らかにした。野村と山添はバナジウム触媒における触媒活性種解析に取り組み、有機Al助触媒の存在下では、使用するアニオン性配位子により異なる活性種が生成することを明らかにした。共同研究の打ち合わせを基に、欧州の放射光施設(フランスSOLEIL)に、「チタンやバナジウム、ニオブ錯体とハロゲン化有機アルミニウムやホウ素化合物との反応で生成する高反応性有機金属化学種の構造解析」に関する内容で申請書を提出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現地(イタリアCamerino大学)への若手研究者の派遣・学習、海外及び国内の研究分担者との連携も順調に推移しており、放射光施設の研究申請書の提出に至っている。代表者と一部の共同研究者での連名での研究成果も学術論文として受理されており、国際共同研究を通じて、今後さらに革新的な成果が期待される。
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今後の研究の推進方策 |
2019年度の成果を基盤に研究を発展させるつもりである。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定していた研究打ち合わせ・出張が、新型コロナウイルスによる自粛で中止となったため。2020年度は海外共同研究者の招聘や放射光施設での測定も予定しているので、予算の執行に大きな支障とならない。
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