研究課題/領域番号 |
19KK0140
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
加地 範匡 九州大学, 工学研究院, 教授 (90402479)
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研究分担者 |
渡慶次 学 北海道大学, 工学研究院, 教授 (60311437)
真栄城 正寿 北海道大学, 工学研究院, 准教授 (40744248)
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研究期間 (年度) |
2019-10-07 – 2025-03-31
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キーワード | エクソソーム / Lab on a Chip / 微細加工 / 細胞スフェロイド |
研究実績の概要 |
本国際共同研究では、日本・オランダ・シンガポールの各研究グループが独自に有するマイクロ・ナノテクノロジー、デバイス技術、エクソソーム分離・解析、エクソソーム高機能化、単一細胞アッセイ、細胞スフェロイドアッセイの各要素技術を結集して融合することで、再生医療やがん免疫療法に応用可能な高機能ハイブリッドエクソソームの創製を目的とする。本研究期間中、世界屈指の超微細加工技術とそれを可能とする施設を有するトウェンテ大学、基礎研究から臨床研究まで包括的に研究を行う体制が整っているシンガポール国立大学に若手研究者が3ヶ月以上滞在し、超微細加工技術から細胞スフェロイドアッセイ技術までを習得することで、エクソソームの選択的捕捉・分離・解析・高機能化から単一細胞・細胞スフェロイドアッセイが可能な統合型デバイスの研究開発をおこなうことを目指した。 本研究の当初計画では、参画研究者がトウェンテ大学とシンガポール国立大学に長期滞在してデバイス作製技術の習得並びに作製と評価を行う予定であった。しかしながらコロナ禍のために海外渡航がなかなか叶わなかったが、昨年度から研究代表者である加地と分担者の渡慶次・真栄城がトウェンテ大学へ赴き、ディスカッションを行った。さらに2度に渡って現地滞在・実験することで、スフェロイドアッセイの基礎となるスフェロイド調製デバイス作製方法、ならびにスフェロイドの調製ならびにスフェロイドアッセイ系を用いたエクソソーム導入方法の基礎検討を現地スタッフと共同で行い、初期的な研究成果を得ることに成功した。なお、シンガポール国立大学とは、当初、具体的な実験を担当していたHou博士がシンガポール国立大学から南洋理工大学へと異動されたが、オンラインディスカッションを継続的に行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初計画では、2022年度で終了のプロジェクトであったが、コロナ禍のため、昨年度の延長に引き続いて今年度延長を申請した。昨年度から海外渡航・現地滞在が可能となったため、当初予定よりはやや遅れてしまったが、当初計画通りにプロジェクトを進行できる状態まで戻ってきたため、今年度で目的を完結できるように遂行していく計画である。
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今後の研究の推進方策 |
現地滞在により修得した3Dプリンターを用いたマイクロ流路造形法を日本でも可能とするため、他研究予算で取得した3Dプリンターを用いて条件最適化を行ったところ、トウェンテ大学と同様の細胞スフェロイドの調製ならびに安定的な細胞培養を行うことが可能となった。このチップ上で作製した細胞スフェロイドを用いて、エクソソームならびに人工ナノ粒子を用いて外来の核酸や薬物の細胞内への導入効率を定量的に評価するとともに、導入過程の時空間的な情報を得るために、今日焦点顕微鏡を用いたアッセイ系の構築を継続して行っていく。特に遺伝子導入においては、導入後の発現状況までを含めて評価できる系を構築することで、エクソソームをはじめとしたナノ粒子の診断・治療への応用を視野に入れながら研究を推進していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍の期間、渡航が叶わなかったため、研究費使用計画に大きな変更が生じた。概して使用期間が2年間後ずれしたため、コロナ禍期間中を除くと計画に準じて執行している。
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