• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2020 年度 実施状況報告書

鉛を含まないSn-ペロブスカイト太陽電池の高効率化指針提案

研究課題

研究課題/領域番号 19KK0143
研究機関電気通信大学

研究代表者

早瀬 修二  電気通信大学, i-パワードエネルギー・システム研究センター, 特任教授 (80336099)

研究分担者 沈 青  電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 教授 (50282926)
カマルディン ムハマドアクマル  電気通信大学, i-パワードエネルギー・システム研究センター, 特任研究員 (60853661)
研究期間 (年度) 2019-10-07 – 2022-03-31
キーワードペロブスカイト / 太陽電池 / Sn / インピーダンス / 高効率 / ワイドバンドギャップ / 電荷注入
研究実績の概要

鉛フリーペロブスカイトであるスズペロブスカイト太陽電池の効率向上を目指している。本年度はワイドバンドギャップ化による高効率化の試みとその結果をスペインとの共同研究(インピーダンス)で解析し、効率向上の指針を得ることを目標とした。ワイドバンドギャップスズペロブスカイト層としてXSnI2Brを選択した。これにより吸収波長端は770 nmまでブルーシフトした。ちなみにXSnI3の吸収端は900 nm程度である。Xサイトの構造最適化を検討したところ、Guanidiniumイオンを添加することによって効率が1.68%から7%まで向上した。ちなみにこの効率はワイドバンドギャップスズペロブスカイト太陽電池として報告された中で最高値である。インピーダンス解析により、Guanidiniumイオンの添加により、キャリアの寿命が広い印加電圧の範囲で大きく向上していることが分かった。この効率向上はペロブスカイトからホール輸送層へのホール注入とペロブスカイトから電子輸送層への電子注入の速度が同程度に最適化されたためと説明できた。効率向上の指針として、ホールと電子の電荷収集率のバランス化を図ることが重要であることを実証できた。本結果の一部は"High Efficiency Lead-free Wide Bandgap Perovskite Solar Cells via Guanidinium Bromide Incorporation"と題してACS Applied Energy Materialsに投稿し受理された。また実施した共同研究をまとめた論文を3報を準備中であり来季投稿する。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

日本側で最適化した組成のペロブスカイト太陽電池の性能評価結果から、効率と構造の関係を実験的に求めることが可能であったが、そのメカニズム解明は日本側だけでは困難であった。スペインサイドのインピーダンス解析により、Aサイト構造の最適化により、ホールと電子の電荷収集効率を等しくし、電荷収集効率のバランスをとることが効率向上の一因になっていることを突き止めることができた。これにより、今後の効率向上の指針を得ることができた。

今後の研究の推進方策

これまではペロブスカイト組成と効率の関係をインピーダンス解析・時間分解解析によるキャリアダイナミックス解析により効率向上のメカニズム解明を行ってきた。最終年度は粒界およびヘテロ界面の欠陥密度減少と太陽電池効率の関係を実験的に調べ、その結果を時間分解分光法、インピーダンスを使って解析しそのメカニズムを解明する。現在新型コロナウイルスが蔓延しているために海外出張が制限されている。このため日本側で太陽電池等のインピーダンスを測定し、WEBを使ってスペインサイドと共同で解析を行う。デバイス構造のままで粒界をパッシベーションし、パッシベーション前後で電荷再結合速度、キャリア寿命、キャリア拡散距離を評価する。上記方法で求めたキャリア寿命を単膜のみでホール効果により測定した値と比較し、単膜とヘテロ界面を有するデバイスのキャリアダイナミックスの違いを議論することにより、効率向上を阻害する粒界・ヘテロ界面を特定する。ペロブスカイト層内部の結晶界面修飾により粒界界面を変化させ、その変化から粒界界面のトラップ分布、インピーダンスを測定し、結晶粒界と太陽電池特性、電子物性の相関を議論する。Pbペロブスカイト、SnPb混合金属ペロブスカイト、SnペロブスカイトとSn含量を変えたペロブスカイト太陽電池のトラップ密度解析、トラップ深さ解析、キャリアダイナミックス、キャリア寿命、電荷移動度、電荷移動距離、キャリア密度を測定し、Snがペロブスカイト太陽電池特性に与える影響を系統的に明らかにする。

次年度使用額が生じた理由

コロナウイルス蔓延のため、海外出張ができず共同研究推進に支障が生じた。このため海外で行う実験を次年度に日本で実施することとし、貴重な解析をWEBを使って日本とスペインで共同で行う研究計画の変更を行った。このため一部経費を繰り越した。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2021 2020

すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 2件、 招待講演 2件)

  • [雑誌論文] High Efficiency Lead-free Wide Bandgap Perovskite Solar Cells via Guanidinium Bromide Incorporation2021

    • 著者名/発表者名
      Mengmeng Chen, Muhammad Akmal Kamarudin, Ajay Kumar Baranwal, Gaurav Kapil, Teresa S. Ripolles, Kohei Nishimura, Daisuke Hirotani, Shahrir Razey Sahamir, Zheng Zhang, Chao Ding, Yoshitaka Sanehira, Juan Bisquert, Qing Shen, Shuzi Hayase
    • 雑誌名

      ACS Applied Energy Materials

      巻: 未定 ページ: 未定

    • 査読あり / 国際共著
  • [学会発表] Comparison Studies on Various Perovskites Fabricated on Transparent Conducting Oxide Free Substrates2021

    • 著者名/発表者名
      Shahrir Razey Sahamir, Muhammad Akmal Kamarudin, Teresa Ripolles Sanchis, Gaurav Kapil, Ajay Kumar Baranwal, Juan Bisquert, Qing Shen, Shuzi Hayase,
    • 学会等名
      応用物理学会春季学術講演会
  • [学会発表] Synergistic effect of A-site engineering and surface treatment in tin halide perovskite solar cell2021

    • 著者名/発表者名
      Muhammad Akmal Kamarudin, Shahrir Razey Sahamir, Teresa S. Ripolles, Daisuke Hirotani , Kohei Nishimura, Kenji Yoshino, Takashi Minemoto, Shen Qing, Juan Bisquert, Shuzi Hayase
    • 学会等名
      応用物理学会春季学術講演会
  • [学会発表] Progress in perovskite solar cell2020

    • 著者名/発表者名
      Shuzi Hayase
    • 学会等名
      11th International. Symposium on Organic Molecular Electronics
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] Pb free perovskite solar cells with over 13 % efficiency-Direction to high efficiency-Pb free solar cells2020

    • 著者名/発表者名
      S. Hayase,
    • 学会等名
      IEEE PVSEC 47 Oral video presentation
    • 国際学会
  • [学会発表] プリンタブル・ペロブスカイト太陽電池研究の現状と将来動向2020

    • 著者名/発表者名
      早瀬修二
    • 学会等名
      第169総研セミナー・次世代の太陽電池発電システム
    • 招待講演

URL: 

公開日: 2021-12-27  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi