研究課題/領域番号 |
19KK0147
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
木村 淳夫 北海道大学, 農学研究院, 名誉教授 (90186312)
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研究分担者 |
橋床 泰之 北海道大学, 農学研究院, 教授 (40281795) [辞退]
崎浜 靖子 北海道大学, 農学研究院, 講師 (10344491)
奥山 正幸 北海道大学, 農学研究院, 講師 (00344490)
田上 貴祥 北海道大学, 農学研究院, 助教 (70709849)
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研究期間 (年度) |
2019-10-07 – 2023-03-31
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キーワード | メガロ糖 / 色素汚染 / 問題解決型研究 |
研究実績の概要 |
我々は世界で初めてメガロ糖(MS)の生産に成功した。性質を調べると、BCS IIに属す化合物(難水溶性・高膜透過性の薬剤や食品素材など)を可溶化する画期的な機能が発見された。またMSは「BCS II化合物を溶質とする糖質水溶化剤」と捉えることもできた。一方、難溶性ベンジル系アゾ色素もBCS IIに属し、かつ「東南アジア諸国における代表的な環境汚染物質」である点に注目し、MSとアゾ分解酵素を組合せることで、実験室レベルではあるが、色素の可溶化と酵素分解に成功した。以上は初めて生産したMS、すなわち従来型MSの知見である。極最近に従来型MSより高機能な新奇MS(新型MS)を発見した。本申請では、新型MSによるアゾ色素の酵素分解を目的とし、現地試験をタイで実施する。最終的な到達目標はアゾ色素の汚染解消(すなわち環境問題克服への貢献)である。 本年度もタイにおける新型コロナウイルス感染症の流行から渡航が困難となり、現地調査の断念を強いられた。タイでの調査が遅れているが、それを補うべき対策を立てて研究を進行させた。以下に本年度の成果を述べる。1)昨年までに我々が明らかにした有望な植物MS(日タイ共通植物由来のMS)に関し、タイ植物の存在確認を相手国研究協力者が行った。2)本MSの存在下でアゾ色素の酵素分解が進行した。3)自然界においてアゾ色素は土壌(色素汚染土壌)の中に存在するため、アゾ色素と土壌を混合させ「色素汚染土壌」のモデル化を図った。4)構築したモデル汚染土壌を滅菌後に、MS可溶化と酵素処理を実施し、アゾ色素分解の確認を行っている。分解量の向上を目指したい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
以下が、自己点検評価の理由である。 「研究実績の概要」項でも述べたが、COVID-19災禍ならびに予期しない政情不安が生じ、タイ入国が困難となった。当該の調査研究は、計画の大部分をタイで実施するため、その影響は大きく研究が遅れた。一方「研究実績の概要」で述べたが、「色素汚染土壌」のモデルシステムを構築し、MS可溶化を介したアゾ色素の酵素分解実験を行い、遅れを回復したい。
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今後の研究の推進方策 |
「現在までの進捗状況」で述べたが、色素汚染土壌モデルを構築したので、その活用で遅延の解消を図りたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由: 2021年度に計画していたタイ調査に使用する費用であったが、COVID-19流行により、タイ入国が困難となった。 使用計画: 上述したタイでの調査に要する費用(調査にかかわる旅費と消耗品購入)に充当し、相手国への訪問に使用したい。
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