研究課題/領域番号 |
19KK0148
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
田野井 慶太朗 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 教授 (90361576)
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研究分担者 |
小林 奈通子 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 准教授 (60708345)
杉田 亮平 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 助教 (60724747)
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研究期間 (年度) |
2019-10-07 – 2024-03-31
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キーワード | 植物 / イオン / 放射性同位体 / 蛍光寿命イメージング法 / 微小イオン電極測定装置 |
研究実績の概要 |
植物はイオン環境の急な変化に晒されると、根からのイオン吸収速度を10分以内に調節する環境応答機構をもつが、その実体は不明である。本研究では、植物が根の細胞質内イオン濃度の変化を検知しているという仮説の検証を目的として、マグネシウムイオンとナトリウムイオンの吸収速度を解析対象とし、細胞質内イオン濃度とイオン吸収速度の関係について法則性を明らかにする。そのために、①Mg2+やNa+の吸収速度が変化する条件(培地中イオン濃度と時間)において、放射性同位元素(RI)を使ったトレーサー実験で、②Mg2+やNa+の吸収速度が変化する部位を、微小イオン電極法(MIFE)で、③Mg2+やNa+の吸収速度が変化した根組織の細胞質内イオン濃度の変化を、蛍光寿命イメージング法(FLIM)で、それぞれ計測することで、根でのイオンFluxと細胞質内イオン濃度との法則性を明らかにする。 本年度は、Mg2+についてはMIFEやFLIMでの植物の設定を想定した上で、変異体に対して28Mgを用いたトレーサー実験をおこなった。次年度MIFをタスマニア大学で実施するための準備をおこなった。 植物の根でFLIMを実施するための環境整備をミラノ大学でおこなった。また、Mg2+を蛍光色素により検出する方法を試行したが再現性に問題があることから、Mg2+を検出する蛍光タンパク質をいくつか設定し、それらを発現させる植物の作成をスタートさせた。次年度、この植物を用いることでFLIM解析ができるものと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初はMIFEの条件設定からスタートさせる予定であったが受け入れ先研究者の都合により2020年度へと延期させた。そのかわり当初は2020年度に実施する予定だったミラノ大学でのFLIMをスタートさせることができた。
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今後の研究の推進方策 |
FLIMを成功させるための条件がおおよそわかったので、そのためのイオン検出用蛍光タンパク質を発現させた植物の作成を最優先に進める予定である。またMIFEについてはMg2+イオンを感度よく検出できず、またCa2+イオンの影響を多大に受ける問題があるので、この点を克服できそうなイオノフォアを選定し、タスマニア大学で試行する計画である。 一方で、新型コロナの影響で、来年度オーストラリアやイタリアへ渡航できないことも考慮に入れる必要が出てきた。そこで、両者ともに実験材料を準備することを最優先とし、また先に植物材料を先方へ送って、先方で試行してもらい、さらに問題点を日本で対応するなどのやり方で、直接渡航できない点をフォローしなんとか研究を推進したいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初タスマニア大学へ渡航する予定であったが、先方の都合で来年度へと延期したため、次年度使用額が生じた。
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