研究課題/領域番号 |
19KK0152
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
槇原 大悟 名古屋大学, 農学国際教育研究センター, 准教授 (70452183)
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研究分担者 |
土屋 雄一朗 名古屋大学, トランスフォーマティブ生命分子研究所, 特任教授 (00442989)
菊田 真由実 広島大学, 統合生命科学研究科(生), 助教 (20788418)
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研究期間 (年度) |
2019-10-07 – 2023-03-31
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キーワード | 根寄生雑草 / Striga hermonthica / 人工ストリゴラクトン / 自殺発芽剤 / トウモロコシ / ソルガム / シコクビエ / ケニア |
研究実績の概要 |
2021年度はコロナ禍により海外渡航が困難であったため、ケニア現地での実験は遠隔でできる範囲で行った。今後の研究に使用するため、新たにストライガ種子を採集し、実験材料として適切であることを確認した。この種子を用いて発芽条件を詳しく調査し、土中でのコンディショニングと96穴プレートを使ったin vitro発芽試験法およびナイロンメッシュバッグを用いたポットでの発芽試験法を確立した。また、ポット栽培条件下におけるトウモロコシへのストライガの寄生実験を行い、ストライガ種子のコンディショニング期間、播種量、播種深度などを検討し、ポットでのストライガ寄生試験法を確立した。さらに、ポットでのストライガ自殺発芽試験のための処理条件を検討し、500nM SPL7を施用することでストライガの自殺発芽を起こせることを確認した。 ストライガの全ゲノム配列は報告されていないため、名古屋大学が保有しているストライガ(スーダン系統)のトランスクリプトーム解析を進めた。次世代シーケンサーで得たストライガのゲノム配列データからゲノム配列の再構築を行うため、de novoアセンブリを進めた。 一般的にはストライガ被害は施肥により軽減されるとされているが、本研究で実施した聞き取り調査では、ストライガ被害農家の約90%が施肥を行っていることが分かった。また、農家の意識調査からは、多くの農家がストライガを問題として認識しているものの、その発生メカニズムおよび適切な防除法に関する知識が不足している実態が明らかになった。さらに、ストライガ被害農家の位置情報と土壌や環境データを地図上に落とし込み、ストライガの発生と栽培環境条件の実態把握を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2021年度はコロナ禍でケニアに渡航することが出来ず、またケニアでストライガが発生する7月頃にケニア国内での移動が制限されたため、農家に対する聞き取り調査、FTAカードによるストライガDNAの収集、農家圃場からの土壌サンプリングおよび圃場での栽培試験は延期せざるを得ない状況となった。
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今後の研究の推進方策 |
コロナ禍は終息しておらずケニアへの渡航は困難な状況が続いているため、当面ケニアでの実験は現地の協力者に依頼して実施する。また、ストライガの出現が最も多くなる7月頃に、ストライガの種子を含む植物体および宿主作物の農家圃場からのサンプリング、および農家に対する聞き取り調査を現地の共同研究者に依頼して実施する。また、これまでにFTAカードに収集したストライガのDNAから多型検出を進める予定である。さらに、SPL7処理のタイミングおよび方法について検討するとともに土壌中でのSPL7の動態を詳しく調査する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍によりケニアへの渡航が制限されたため、旅費を執行しなかった。また、ケニアの圃場における栽培試験の一部および現地でのフィールド調査を実施することが出来なかった。次年度、コロナ禍が収束すれば、主に旅費、圃場試験およびフィールド調査の経費として使用する予定である。
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