研究課題/領域番号 |
19KK0152
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
槇原 大悟 名古屋大学, 農学国際教育研究センター, 准教授 (70452183)
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研究分担者 |
土屋 雄一朗 名古屋大学, トランスフォーマティブ生命分子研究所, 特任教授 (00442989)
菊田 真由実 広島大学, 統合生命科学研究科(生), 助教 (20788418)
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研究期間 (年度) |
2019-10-07 – 2025-03-31
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キーワード | 根寄生雑草 / Striga hermonthica / トウモロコシ / ソルガム / シコクビエ / 自殺発芽剤 / 人工ストリゴラクトン / ケニア |
研究実績の概要 |
昨年度に引き続き、SPL7によるストライガ種子の刺激発芽試験を実施した。96穴プレートを用いた実験では、ストライガ発芽がSPL7濃度5nM~500nMで誘導され、50nMで最多であった。一方、土壌を充填したポット試験では、50nM~5uMのSPL7により発芽が誘導され、500nMで最多となった。500nMのSPL7を用いて、最適な施用量について検証した。250mL容器を用いた場合、SPL7溶液100mLで最も発芽率が高かった。他方、5L容器では、SPL7溶液を5000mL施用した処理区で、最大の発芽率を示した。地下10㎝以下では、SPL7溶液の浸透に斑が生じるため、ストライガ種子の発芽率が不安定になると考えられた。 圃場におけるSPL7によるストライガ種子自殺発芽効果の検証試験を、トウモロコシを用いて実施した。500mMのSPL7溶液を1m2あたり10 L施用することにより、寄生するストライガ数が有意に減少し、トウモロコシの乾物重は増加した。 2023年7月にケニア西部のストライガ汚染地域においてフィールド調査を実施した。農家に対する聞き取り調査の結果、現地の主食作物であるトウモロコシとソルガムは、ストライガ被害により、約47%減少したことが明らかになった。61%の農家が、ストライガ防除対策(堆肥の施用、輪作、間作など)を実践しているにもかかわらず、同地域におけるストライガ汚染は拡大していることが確認された。今回の調査では、これまでストライガが確認されていなかった標高1781mの圃場においてストライガが発見された。また、サトウキビおよびネピアグラスへのストライガ感染が確認された。2023年度のフィールド調査において、新たに83点のストライガDNAを採集した。また、これまでに収集したストライガの遺伝解析を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2020年度から2022年度までのコロナ禍により研究は全般的にやや遅れている状況が続いている。2023年度は、予定通りの研究活動を実施できたが、フィールド調査は年1回、圃場での栽培試験は年2回が限度であり、コロナ渦で生じた遅れを取り戻すことは困難である。このため、コロナ渦で生じた遅れが、以後の研究進捗に継承されている。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は、ストライガの出現が最も多くなる7月頃にケニアに渡航し、現地の共同研究者と共同でフィールド調査を実施する。ストライガDNAと土壌サンプルの収集を進めるとともに、農家に対する聞き取り調査を行う。また、これまでにFTAカードに収集したストライガのDNAから多型検出を進める予定である。ケニア農畜産業研究機構キボス支所における圃場試験およびポット試験を行い、SPL7のストライガ自殺発芽剤としての効果を圃場レベルで実証し、SPL7処理技術を確立する。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年度から2022年度までのコロナ禍により研究は全般的にやや遅れている状況が続いている。2023年度は、予定通りの研究活動を実施できたが、フィールド調査は年1回、圃場での栽培試験は年2回が限度であり、コロナ渦で生じた遅れを取り戻すことは困難であるため、次年度使用額が生じた。 2024年度、ケニアへの渡航費、現地フィールド調査経費、ストライガの遺伝子解析費、ケニアにおける栽培試験実施経費、論文投稿費などに使用する予定である。
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