研究課題/領域番号 |
19KK0155
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
練 春蘭 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 教授 (40376695)
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研究分担者 |
高野 哲夫 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 教授 (30183057)
鴨下 顕彦 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 准教授 (10323487)
則定 真利子 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 准教授 (00463886)
津釜 大侑 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 准教授 (10726061)
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研究期間 (年度) |
2019-10-07 – 2025-03-31
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キーワード | インド / トウジンビエ / 遺伝子 / ゲノム / データベース |
研究実績の概要 |
トウジンビエのストレス耐性に関わる遺伝子群の候補としてSBP転写因子遺伝子群に着目し、それらの配列を特徴付け、それを国際誌において発表した。共同研究機関であるインド・国際半乾燥熱帯作物研究所(ICRISAT)から新規に提供されたトウジンビエの農業形質の表現型データと先行研究から収集した窒素関連形質の表現型データを用いてゲノムワイド関連解析を行い、それらの形質に関連しうるゲノム領域・遺伝子を検出した。そのような遺伝子の一つであるPgMATE2をクローニングし、これを強く発現する形質転換シロイヌナズナを作出した。 窒素欠乏ストレスに対するトウジンビエの成長応答と窒素吸収特性を系統間で比較するための実験系を系統ICMB843を用いて以下の通り確立した。成長応答に関しては、硝酸アンモニウム(NH4NO3)を窒素源とした水耕栽培系に砂耕苗を移植し、馴化期間を経た後、2 mM NH4NO3の窒素十分区と0.1 mM NH4NO3の窒素欠乏区に供して7日間処理することで、窒素欠乏により個体成長が抑制され、根の割合が増大することを確認した。窒素吸収特性に関しては、明期2時間目から20分間、1 mMあるいは0.05 mMの標識窒素源を含む培養液を供与し、その後通常の培養液に移して翌暗期終了時までを追跡期間とすることで、標識窒素の個体への取り込みと地上部への転流を評価できることを確認した。 潅水制限に対するトウジンビエの生育応答とアーバスキュラー菌根菌の感染の効果を定量するための幼苗期試験、ポット試験、圃場試験を設計した。実験は主にICMB89111系統を用いて行い、一部にICMB95444系統も用いた。潅水制限のアーバスキュラー菌根菌感染率に対する効果は小さく、幼苗期においてのみICMB95444の方がICMB89111よりも高いアーバスキュラー菌根菌感染率を持つ傾向が見られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルスの感染拡大にともない、ICRISATにおける業務の遂行に支障が生じたため、本研究課題の解析に使用予定であった174系統・品種がICRISATから届かず、実施予定であった多品種の表現型解析が行えなかったため。
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今後の研究の推進方策 |
2021年11月に上述の174系統・品種の中の約120を受領することができた。表現型解析の簡便化・迅速化を図るための機器・装置をこれまでに購入しており、これらを用いてそれらの系統・品種の表現型解析を進める予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
ICRISATに出張して現地で作業・解析を行う予定であったが、新型コロナウイルスの蔓延によりこれが実施できず、その分が未使用となったため、次年度使用額が生じた。2022年5月現在も現地で作業・解析できる見込みは立っていないため、次年度使用額は、次世代シークエンシングなど、日本国内で実施でき本研究の推進に寄与する解析のために使用する予定である。
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