研究課題/領域番号 |
19KK0157
|
研究機関 | 福井県立大学 |
研究代表者 |
松岡 由浩 福井県立大学, 生物資源学部, 教授 (80264688)
|
研究分担者 |
石井 孝佳 鳥取大学, 乾燥地研究センター, 講師 (80823880)
宅見 薫雄 神戸大学, 農学研究科, 教授 (50249166)
辻本 壽 鳥取大学, 乾燥地研究センター, 教授 (50183075)
|
研究期間 (年度) |
2019-10-07 – 2025-03-31
|
キーワード | タルホコムギ / パンコムギ / 8倍性合成コムギ / 国際トウモロコシ・コムギ改良センター / ナショナル・バイオリソース・プロジェクト |
研究実績の概要 |
温暖化で深刻な負の影響を受けるパンコムギでは、育種を加速して、気候変動に打ち克つ品種を開発する必要がある。本研究は、6倍性パンコムギ(AABBDDゲノム)に祖先野生種タルホコムギ(DD)のコアコレクションを交配・胚培養して、多数の「8倍性合成コムギ(AABBDDDD)」を作出する。過去100年、コムギ染色体数の発見、倍数性進化の解明等、日本は世界の研究をリードしており、最高水準の研究リソース(人材、技術、遺伝資源)を有する。本研究は、ゲノム解読が完了した好機に、研究リソースを結集し、気候変動下の食糧生産問題の解決に向けて、20世紀に「緑の革命」を主導したことで著名な国際トウモロコシ・コムギ改良センター(CIMMYT、メキシコ)との共同研究を推進することを目的とする。 この目的の達成に向けて、本研究では、研究期間内に2つの研究計画(① 8倍性合成コムギの作出、② 8倍性合成コムギ派生系統を用いたDゲノム改良と遺伝様式の解明)を実施する。本年度は、このうち、「① 8倍性合成コムギの作出」に取り組み、次のような成果を得た。 ・若手研究者がCIMMYTに出向き、海外共同研究者とともに、パンコムギのエリート品種(農林61号とBORLAUG 100)と139系統のタルホコムギを交配し、合計110のF1雑種胚を得た(内訳:農林61号由来のF1雑種が74、BORLAUG 100由来のF1雑種が36)。 ・得られたF1雑種胚の培養を開始した。 ・CIMMYTが有する交配、未塾胚の培養・コルヒチン処理に関するノウハウを学び、技術を習得した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
初年度である本年度は、当初、研究代表者と若手研究者がCIMMYTを訪問して海外共同研究者とのミーティング、スケジュール調整を行う予定であった。しかし、本研究が採択される前から準備を進めていたことが奏功し、計画を前倒しする形で研究計画「① 8倍性合成コムギの作出」を進めることができた。このため「当初の計画以上に進展している」とした。
|
今後の研究の推進方策 |
[研究計画の変更] 該当なし [研究を遂行する上での課題] 新型コロナウィルスの世界的感染拡大の影響により、CIMMYTを訪問して研究を実施することが困難となっている。 [対応策] 今年度、若手研究者がCIMMYTで習得した交配、未塾胚の培養・コルヒチン処理に関するテクニックを生かして、日本でも、パンコムギのエリート品種(農林61号とBORLAUG 100)とタルホコムギの交配を行う。これにより、8倍性合成コムギの作出をCIMMYTと日本で相補して推進する体制をとる。また、海外共同研究者やCIMMYTスタッフとの連携を密にするため、オンラインミィーティングができる通信環境を整備する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
[理由] 新型コロナウィルスの世界的感染拡大の影響により、研究代表者がメキシコにあるCIMMYTを訪問できなかったため。 [使用計画] 新型コロナウィルス問題の終息を待って、CIMMYTを訪問することにより使用する。
|