研究課題/領域番号 |
19KK0159
|
研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
庄子 晶子 筑波大学, 生命環境系, 准教授 (30792080)
|
研究分担者 |
新妻 靖章 名城大学, 農学部, 教授 (00387763)
徳永 幸彦 筑波大学, 生命環境系, 准教授 (90237074)
|
研究期間 (年度) |
2019-10-07 – 2024-03-31
|
キーワード | 海洋汚染 / 海鳥 / 空間解析 / バイオロギング / 種間比較 |
研究実績の概要 |
ウトウ調査は,産卵前から巣立ち時期に相当する4月8月にかけて,アメリカ合衆国アラスカ州ミドルトン島で実施した。また,汚染暴露と生態の関連をみるために同所性のエトピリカ調査も同時期に実施した。繁殖期の親鳥の正確な位置を記録するためにGPSロガーを装着,回収した。また,前年度までに親鳥に装着した通年にわたって利用海域と行動を推定する照度記録計と浸水記録計を搭載したジオロケーターの回収を行った。今年度はウトウもエトピリカも繁殖成績が例年と比べて低く,装置の回収には苦労したが,目標数を回収することができた。回収できなかった装置については,GPSロガーは一定期間後に自然脱落する装着手法を取っており,ジオロケーターは来年度に回収を試みる。装置を回収した際に,安定同位体比分析と水銀濃度測定用に羽採取と採血を行った。得られた行動データを解析し,鳥の飛翔経路から採餌や越冬に関わる重要海域を特定し,本研究課題中に収集したデータと過去のデータの解析を行ったところ,ウトウは,エトピリカよりも,利用海域や採餌行動に年変異が大きかった。 野外調査後に名城大学農学部にて、加熱気化水銀測定装置を用いてウトウとエトピリカの羽と血液の水銀分析を行った。さらに炭素・窒素安定同位体比分析も、安定同位体比質量分析計を用いて筑波大学下田臨海実験センターで実施した。同所で繁殖するウトウとエトピリカの2種において水銀濃度を種間比較したところ、ウトウの方が高い水銀濃度を蓄積していた。さらに、両種の非繁殖期の行動をジオロケータを用いて追跡・解析したところ、ウトウの方がより広範囲に分布していたことがわかったが,窒素・炭素安定同位体比の値に違いはなかったことから、栄養段階が同じ餌動物を利用していても利用空間の違いが水銀曝露量と関連することを示唆する結果を得ることができた。
|