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2020 年度 実施状況報告書

オレフィンメタセシスを鍵反応とした多糖系ブロックコポリマーの合成と物性評価

研究課題

研究課題/領域番号 19KK0163
研究機関京都大学

研究代表者

上高原 浩  京都大学, 農学研究科, 教授 (10293911)

研究分担者 吉岡 まり子  京都大学, 農学研究科, 准教授 (30220594)
杉村 和紀  京都大学, 農学研究科, 助教 (30711783)
研究期間 (年度) 2019-10-07 – 2024-03-31
キーワードセルロースエステル / セルロースエーテル / ブロックコポリマー / オレフィンメタセシス / デキストラン
研究実績の概要

石油由来ポリマーを代替し得る生分解性の天然多糖をベースとする機能性材料の開発を目指し、オレフィンメタセシスを鍵反応とした多糖系ブロックコポリマーの合成とその物性評価について、共同研究先のアメリカ合衆国VirginiaTech、Kevin J. Edgar教授とZoomによるオンライン会議を3回開催し、具体的な研究方法に関する議論を行った。
昨年度、出発試料として選定したセルロースアセテートCA(工業的に重要な汎用エステル誘導体)と、エチルセルロースEC(濃厚溶液中でコレステリック液晶を形成するエーテル誘導体)について、オレフィンメタセシス反応に適したセルロース鎖/第2セグメント鎖の末端機能化とブロック化スキームに関する意見交換を行った。具体的には、反応中におけるエステル・エーテル基の脱離ならびに分子量低下を防ぐ方法について議論し、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)測定等を用いて検討を進めた。
また、ブロックコポリマー試料の物性評価に先立ち、構成セグメント鎖である各種セルロース誘導体のキャラクタリゼーションを行った。CAの置換基分布がビニルポリマーとのブレンド相溶性に及ぼす影響や、ECの液晶形成挙動に及ぼすエチル置換度と位置選択置換の効果、さらには種々のアシル置換基の導入したアシル化ECの液晶形成挙動(アシル置換度と置換位置、ポリマー濃度、温度)について、熱分析や円二色性(CD)・紫外-可視-近赤外(UV-Vis-NIR)分光測定等を用いて調査した。その結果、(1)セルロースの6位ヒドロキシ基を優先的に置換することで、(親水性)ビニルポリマーとの相溶性が良好となること、(2)6位置換基の種類によって、ECの溶解性や液晶形成挙動が変化すること、等の基礎的な知見を集積できた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

計画していた共同研究先(Virginia Tech)での長期研究滞在がコロナ禍のため中止せざるを得ず、オレフィンメタセシス反応による多糖系ブロックコポリマーの合成に関する具体的な実験ノウハウを蓄積できていない。ただし、反応中におけるエステル・エーテル基の脱離あるいは分子量低下を防ぐ反応スキームの検討や、構成セグメント鎖であるCAの置換基分布がブレンド相溶性に及ぼす影響、さらにはECとアシル化ECの液晶形成挙動の調査、といった、こちらで着手可能な実験は行えている。

今後の研究の推進方策

新型コロナウイルスの蔓延状況が予断を許さない状態ではあるものの、研究者のワクチン接種及びVirginia Techの研究者受け入れ体制が整い次第、1年遅れで日本側研究者の研究滞在を実現させる。それまでの間は、Zoomを使った遠隔会議を引き続いて開催し、セルロース系ブロックコポリマーについて、実験スキームの検討と進捗状況の共有を行う方針である。
また、デキストラン系ブロックコポリマーについて、薬物輸送システムDDSへの応用を目指して、分子設計による親/疎水性のミセル形成能・ゲル形成能の制御を試みる。導入するブロック鎖(第2成分)を選択するとともに、オレフィンメタセシスの反応条件について、検討を進める。

次年度使用額が生じた理由

予定していた、共同研究者であるVirginia TechのKevin Edgar教授研究室における研究滞在と研究打ち合わせのための訪問が、COVID-19の影響でキャンセルされたため。
翌年度として請求した助成金と合わせた使用計画は下記の通りである。
アメリカへの出張と共同研究が最も大きなウエイトを占める予定である。今後、研究者のワクチン接種及びアメリカの入国制限が解かれ次第、計画通り研究分担者の杉村和紀助教がVirginia Techに赴いて実験を開始する。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2021 2020 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (3件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Cholesteric Liquid-crystalline Structure and Chiroptical Properties of Adamantoyl Derivative of (Hydroxypropyl)Cellulose in Aqueous Solution2021

    • 著者名/発表者名
      ANDO Momoko, SUGIMURA Kazuki, KAMITAKAHARA Hiroshi
    • 雑誌名

      Journal of the Society of Materials Science, Japan

      巻: 70 ページ: in press

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Immobilization of the Cholesteric Structure Formed by Cellulose Phenylcarbamates and CaCO3 Mineralization in the Liquid-Crystalline Composite Films2020

    • 著者名/発表者名
      SUGIMURA Kazuki、NISHIJIMA Toshiki、KAMITAKAHARA Hiroshi、NISHIO Yoshiyuki
    • 雑誌名

      Journal of the Society of Materials Science, Japan

      巻: 69 ページ: 452~458

    • DOI

      10.2472/jsms.69.452

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] pH応答性を有するキトサン/ポリアクリル酸IPNゲル中での銀ナノ粒子の生成: ゲルの膨潤特性がナノ粒子の生成量とサイズに及ぼす影響2020

    • 著者名/発表者名
      岡本 華奈, 杉村 和紀, 上高原 浩
    • 学会等名
      2020年繊維学会秋季研究発表会, 一般講演B 1G13B, オンライン開催
  • [学会発表] セルロースアセテート/N-ビニルピロリドン含有ビニル共重合体の相溶マップ: セルロースアセテートの置換基分布が相溶性に及ぼす影響2020

    • 著者名/発表者名
      梅野 聖斗, 杉村 和紀, 上高原 浩
    • 学会等名
      2020年繊維学会秋季研究発表会, 一般講演B 1G10B, オンライン開催
  • [学会発表] 置換基分布の異なるセルロースアセテートを用いたN-ビニルピロリドン-ビニルアセテート共重合体との相溶性評価2020

    • 著者名/発表者名
      梅野 聖斗, 杉村 和紀, 上高原 浩
    • 学会等名
      第69回高分子学会年次大会, ポスター発表 3Pb102, 福岡国際会議場
  • [備考] 京都大学大学院農学研究科森林科学専攻複合材料化学分野

    • URL

      https://fukugou.kais.kyoto-u.ac.jp/

URL: 

公開日: 2021-12-27  

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