研究課題/領域番号 |
19KK0166
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
荒木 徹也 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 准教授 (40420228)
|
研究分担者 |
小西 祥子 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 准教授 (70451771)
関山 牧子 国立研究開発法人国立環境研究所, 環境リスク・健康研究センター, 主任研究員 (90396896)
佐々木 俊介 早稲田大学, 国際学術院(アジア太平洋研究センター), 助教 (70792208)
池田 真也 茨城大学, 農学部, 助教 (40816823)
|
研究期間 (年度) |
2019-10-07 – 2024-03-31
|
キーワード | 食塩摂取量 / 塩分量 / タイ / インドネシア / Covid-19 / 国民皆保険 / 薬用植物 |
研究実績の概要 |
タイのチュラロンコン大学およびその周辺で外食メニューの塩分量測定(n=92)を行うとともに、新型コロナウイルス感染症の発生による外出禁止期間の前後でタイ人の食塩摂取量に関連する食行為がどのように変化したのかを推定するためのオンライン質問紙調査(n=1337)を実施した。その結果、外食メニューに含まれる塩分量は100gあたり350-750mgであった。また、新型コロナウイルス感染症の発生による外出禁止期間の前後で主食が減少し間食が増加する傾向が有意に認められ、特に若年層ではスナック類の摂取量の増加と宅配サービスの利用増加傾向が、中高年層では自炊の増加傾向がそれぞれ確認された。 また、インドネシアのボゴール農科大学に所属する学生を対象に、1) 食生活習慣に関する調査(n=931)、2) 学生食堂メニューの栄養価と塩分量の調査(n=20)、3) オンライン栄養調査に基づく栄養価の算出(n=52)、および 4) 食教育に関するオンライン質問紙調査(n=29)をそれぞれ実施した。その結果、学生食堂の利用率は高い一方、提供されているメニューの栄養価は推奨量に満たないことが分かった。また、大学生の野菜摂取量は推奨量の 20%未満であり、食物繊維、ビタミン D、ビタミンE、ビタミン B1、ビタミン B2、葉酸、ビタミン C、カリウム、カルシウムおよび鉄が推奨量の半分に満たなかった。食教育スコアの上位・下位群で有意差のある栄養素は確認されず、食品群別摂取量については、砂糖類、魚介類、菓子類に有意差が確認された。 さらに、国民皆保険が導入されつつあるインドネシアにおける薬用植物の利用に関する影響要因を検討するための社会経済調査(n=634)を西ジャワ州農村で実施した結果、疾病者の40%が薬用植物を利用しており、農村地域では薬用植物の利用が重要な医療の一要素となっていることが分かった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
新型コロナウイルス感染症の発生と蔓延により研究者が研究目的で調査対象国に入国できないという状況は現在も続いており、オンラインによるインタビューおよび質問紙調査以外の研究を推進できない状況にある。
|
今後の研究の推進方策 |
当初、本研究課題は令和5年度に終了する予定であったが、終了年度を1年延長し、令和6年度に終了予定に変更することを検討している。また、オンラインによるインタビューおよび質問紙調査以外の研究に加えて、世界各国の国民健康・栄養調査データのマクロ解析や調査対象国を研究者が入国可能な国に変更する可能性も現在検討中である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症の影響による現地調査の中止、および調査対象国での簡易センサによる尿測定調査に関連する設備備品の購入を見送ったことによるものである。次年度に現地で国民健康改善に関する社会調査がもし実施可能となれば、その実施規模を当初の予定より拡大する方向である。調査対象国の変更可能性も現在検討中である。
|