研究課題/領域番号 |
19KK0179
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
金井 求 東京大学, 大学院薬学系研究科(薬学部), 教授 (20243264)
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研究分担者 |
山次 健三 東京大学, 大学院薬学系研究科(薬学部), 助教 (30646807)
川島 茂裕 東京大学, 大学院薬学系研究科(薬学部), 特任講師 (40508115)
藤村 亜紀子 東京大学, 大学院薬学系研究科(薬学部), 特任研究員 (80793091)
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研究期間 (年度) |
2019-10-07 – 2023-03-31
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キーワード | DNA修復 / エピゲノム修飾 / アシル化触媒 |
研究実績の概要 |
遺伝情報を司り生命の根幹をなすDNAは、複製ミスや紫外線などの環境要因により常に損傷の危険にさらされている。損傷を受けたDNAは老化、疾病、癌などの原因となるため、損傷DNAを適切に修復することは、生物が健康を維持するために極めて重要である。DNAの修復に関わる個々の酵素の働きについては理解が進められてきたが、DNAの周辺環境、すなわち染色体の高次構造やそれに多大な影響を与えるヒストンの翻訳後修飾とDNA修復機構との関連性は明らかにされていない。これは、特定の位置に特定の損傷DNAおよびヒストン翻訳後修飾を持つポリヌクレオソームを調製する技術が存在しないからである。本研究では、申請者らの「ポリヌクレオソームの特定の位置に特定のヒストン翻訳後修飾を導入する化学触媒技術」と米国Texas A&M大学Sczepanski教授の「特定の位置に特定の損傷DNAを持つポリヌクレオソームを調製する技術」を融合し、ヒストン翻訳後修飾とDNA修復機構の関連性を明らかにする。本共同研究で確立する技術は、転写や複製などDNAを足場とする生命活動とヒストン翻訳後修飾の関係性を明らかにする基盤技術となることが期待される。 本年度はまず、我々が開発したリジン残基アシル化触媒DSHを特定の塩基配列を有するDNA鎖の特定の位置に共有結合させ、これをSczepanski教授の持つplug-and-play法によりオリゴヌクレオソームの中に組み込んだ。本研究は、共同研究者の山次と学生をTexas A&M大学に1か月派遣しておこなった。残念ながらCOVID-19のために研究の途中で切り上げて帰国しなければならなくなったが、plug-and-play法に必要な制限酵素のプラスミドをSczepanski教授から日本に送ってもらい、これを用いて東大で研究を行う予定にしている(こちらも中断中)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
日米双方の研究が同一も目標に向かってうまくかみ合って、研究者を米国に派遣して、途中まで予想以上に研究が進展した。しかしながら派遣して1か月後にまずは米国が、続いて東京がロックダウンになってしまい、現在、研究が滞っている。しかしながら初期に予想以上に順調に進展したため、全体を通してはおおむね順調と言える。
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今後の研究の推進方策 |
Texas A&M大学から送ってもらったプラスミドを用いて、当面は東京大学においてplug-and play法の再現を試みる。加えて、DNAに化学触媒を共有結合しない方法を用いて、オリゴヌクレオソームを形成するヒストンに対して特定の位置にリジンアシル化修飾を施すことを試みる。
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19のために共同研究先のTexas A&M大学、および所属機関の東京大学、ともに年度内フルに研究することができず、実験試薬等の支出がなかったため。次年度のいつの段階に再び渡米できるか不明確であるが、可能であれば夏くらいから研究員を再び派遣して、2か月程度実験を行う予定である。
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