研究課題/領域番号 |
19KK0182
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
石野 史敏 東京医科歯科大学, 統合研究機構, 非常勤講師 (60159754)
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研究分担者 |
志浦 寛相 山梨大学, 大学院総合研究部, 助教 (10451907)
石野 知子 (金児知子) 東海大学, 医学部, 教授 (20221757)
鈴木 俊介 信州大学, 学術研究院農学系, 准教授 (30431951)
北澤 萌恵 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 助教 (40801965)
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研究期間 (年度) |
2019-10-07 – 2023-03-31
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キーワード | 哺乳類の胎盤進化 / 有袋類の胎盤 / PEG10の機能 / LTRレトロトランスポゾン / レトロウイルス / 有袋類でのKO動物作製 / 胎盤形成 / 母子免疫寛容 |
研究実績の概要 |
哺乳類の生殖様式である胎生という起源に、LTRレトロトランスポゾン/レトロウイルスに由来する獲得遺伝子であるPEG10はどのように関係したのか?この問題を明らかにするため本国際共同研究を申請した。PEG10は哺乳類でも胎生の有袋類と真獣類にのみ存在する遺伝子であり、申請者らのグループは2006年に、ノックアウト(KO)マウス の解析からPeg10が真獣類において胎盤形成に必須な機能を果たすことを報告している。しかし、近年まで有袋類において、このようなKO個体を用いた遺伝学的アプローチは手が届かない状況にあった。本研究ではオーストラリアに生息する小型有袋類ダナートを用い、最新のCRISPR/Cas9のゲノム編集技術を用いてダナートのPEG10KO個体を作成することで、PEG10の有袋類の胎盤形成における重要性を実証するとともに、真獣類・有袋類に共通する胎盤固有の生化学機能を明らかにすることにある。これにより、哺乳類における胎生の起源におけるPEG10獲得の意義を明らかにしたいと考えている。有袋類の個体を使うゲノム編集実験であり、オーストラリアの研究者との共同研究は必須である。当初は、石野が現地で実験施設や当地での実験の進め方に関しての打ち合わせを行い、その後若手研究者が長期滞在をして実験をする予定でいたが、日本、オーストラリア両国での新型コロナウイルス対応のために、出国することができず、現在のところ実質的な実験が行えていない状況にある。幸いなことに、研究実施者の北澤が今年度、4月にオーストラリアビザがおり、入国が認められた。今年度、現地で、予定していた実験を行うこと予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本研究計画が採択された2019年以降2022年3月までは、新型コロナウイルス感染の影響で、日本からオーストラリアへ入国できない状況が続き、実質的に課題内容については進展していない。しかし、国内でマウスPeg10に関する新しい知見を得ることができたため、これらの課題も新規に本課題に加えることが可能になった。また、ようやく2022年4月に実験担当者である北澤のVISA申請がおり、5月には入国する予定となった。本研究の期間延長申請が認められたので、今年度集中して実験を進める。
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今後の研究の推進方策 |
有袋類の実験動物を用いた遺伝子組み換え個体の作製により胎盤形成に関わるPEG10の機能を実証する計画の準備として、日本国内で、排卵された受精卵への直接ゲノム編集を行うiGONADO法について十分な検討を行い、経験を積んできた。また真獣類のマウスにおいて胎盤形成だけでなく、胎盤を介した母子免疫への関与に関することを明らかにすることができた。これは有袋類にも共通する性質である可能性が高く、今年度、実際に有袋類の個体及びKO個体を作製して、これらの知見が有袋類にも成り立つのかを実証する。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染の影響で、実験担当者がオーストラリアに入国することができず、渡航費用、滞在費などが使用できなかった。今年度への実験期間の延長申請が認められ、また、4月にビザがおり、入国が認められたため、5月に渡航し、計画通り、実験を行う予定である。渡航できない期間、国内で真獣類のPEG10に関係する新しい知見を得ることができ、これらの成果も、本研究である有袋類のPEG10の機能解明に使うことができる。本年度は、真獣類と有袋類のPEG10の両面の解析を進める予定である。
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