研究課題/領域番号 |
19KK0190
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
熊澤 慶伯 名古屋市立大学, 大学院システム自然科学研究科, 教授 (60221941)
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研究分担者 |
武藤 望生 東海大学, 生物学部, 講師 (50724267)
渋川 浩一 ふじのくに地球環境史ミュージアム, 学芸課, 教授 (30435739)
スティアマルガ デフィン 和歌山工業高等専門学校, 生物応用化学科, 准教授 (50625259)
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研究期間 (年度) |
2019-10-07 – 2024-03-31
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キーワード | インドネシア / 生物地理学 / ウォレス線 / 淡水魚類 / 汽水魚類 / 沿岸魚類 / 系統分類 / 分子系統 |
研究実績の概要 |
2019年度は、研究代表者の熊澤が、インドネシアの主要な共同研究者が所属する研究機関(ジャワ島マラン市のブラウィジャヤ大学漁業海洋学部およびスマトラ島パレンバン市の海洋漁業省内水面漁業研究所)を訪問し、Dr. W. E. Kusuma、Dr. D. G. R. Wiadnya、Dr. A. Wibowoらと今後の共同研究の進め方について、研究打ち合わせを行った。研究対象とする魚種、最適な採集地・時期、インドネシア政府からの研究許可の取得手続きなどについて有意義な意見交換を行った。 一方、研究代表者(熊澤)と3名の研究分担者(武藤、渋川、スティアマルガ)は、名古屋市立大学で研究打ち合わせを行い、別途行った日本側研究協力者との議論の成果を踏まえて、さらに詳細な研究プランを練り上げた。インドネシアの島嶼域に生息する淡水魚および汽水・沿岸魚のうち、生物地理区境界線との関係で重要となると考えられる10あまりの分類群をピックアップし、それらについて現地研究協力者も交えてさらに現実的な共同研究計画を作成する作業を行った。 本研究の分子解析では、比較的新しい実験手法であるMIG-Seq (Multiplexed ISSR genotyping by sequencing)が主要な役割を果たすと考えられることから、研究分担者の武藤を中心にMIG-Seqにおける実験・解析条件の検討を実施した。予察的な実験解析を行ったところ、集団遺伝解析に使用できるSNPsが数百以上取得できることが分かったが、今後も適切なサンプルを用いて、さらに詳細な条件検討を継続する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
インドネシアは自国遺伝資源へのアクセスと利用に関して、非営利の基礎研究が目的であっても、非常に厳しい規制を課している。予めある程度予測できてはいたが、この研究許可の取得に非常に時間がかかるため、2019年度の後半に現地野外調査を行うことはできなかった。また、新型コロナウイルスによる影響で、現地研究協力者が研究許可の申請作業を分担できない状態が続いており、これらの要因により研究計画の遅れが生じている。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウイルスの流行による影響が日本およびインドネシアで終息し次第、インドネシア政府への研究許可申請に向けての作業を再開し、なるべく早期に許可の取得につなげたい。また研究計画の遅れを少しでも防ぐために、まずはインドネシア側研究者のみによる野外調査を先行して開始してもらい、許可が取得され次第、日本側研究者が合流する方法を検討したい。2020年度からは、沿岸魚類の分類学専門家である畑晴陵博士(国立科学博物館)に研究協力者に加わってもらい、研究体制を強化するつもりである。
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次年度使用額が生じた理由 |
本科研費課題の採択が通知されて以後、インドネシアでの魚類採集とサンプル持ち出し許可の取得に時間がかかっていること、および新型コロナウイルスの感染症により海外渡航の禁止や現地研究者の活動制限がなされたこと等が原因で、インドネシアでの野外調査が実施できず、次年度使用額が生じました。次年度には、できる限り速やかに採集許可を取得し、新型コロナウイルスの危険がなくなり次第、初年度に行けなかった採集地点を含めて現地調査を実施するつもりです。あわせて過去に採集したサンプルの分析を行うことで予算を執行していきます。
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