研究課題/領域番号 |
19KK0192
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
伊佐 正 京都大学, 医学研究科, 教授 (20212805)
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研究分担者 |
岡田 知久 京都大学, 医学研究科, 特定准教授 (30321607)
山口 玲欧奈 京都大学, 高等研究院, 特定助教 (50812640)
尾上 浩隆 京都大学, 医学研究科, 特定教授 (80214196)
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研究期間 (年度) |
2019-10-07 – 2023-03-31
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キーワード | 機能的MRI / 全脳神経回路 / 三次元再構築 / マーモセット / マカクザル / 機能的結合 / 解剖学的結合 |
研究実績の概要 |
本研究においては、生体脳でのMRIを用いた生理学的結合関係の解析と死後脳でのトレーサー染色による解剖学的結合の3次元構築を同一個体で重ね合わせて、相互の関係を解析するパイプラインを、最初はマーモセット、そして次にマカクザルで構築することを目的としている。令和2年度の研究の進捗としては、マカクザルを対象とする高解像度のBOLD MRI画像取得については、共同研究者のKU LeuvenのVanduffel研究室で構築されてきた頭蓋骨周囲に直接埋め込むimplantable coilをさらに改良し、異なる個体で共有できるような頭部近接装着型のコイルを作成し、京都大学のMRI機を用いて、麻酔下においてBOLD画像の取得を行い、高い空間解像度でのデータを取得することに成功した。 一方、組織標本の3-D再構築パイプラインの樹立については、平成元年度までに共同研究者のMitra博士の理化学研究所の研究室において2頭のマーモセットの中脳上丘に逆行性の蛍光色素を注入し、蛍光標識された皮質ー上丘経路の再構築を行うことに成功した。一方でマウスの皮質ー上丘経路の解析も行っており、大変興味深い種差を見出している。そして平成2年度はMitraらが理化学研究所から撤退した後に残されていたMitra研究室の機材一式を京都大学に移動させ、3色の蛍光トレーサーを上丘の異なる部位に注入した3頭目のマーモセットについて、京都大学においてtape法を用いた歪みのない全脳切片標本を作製した。現在、そのデータを米国Cold Spring Harbor研究所に送信するシステムを構築中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在コロナウィルス感染拡大のため、国を超えた往来が不可能になっているが、隔週で米国Cold Spring Harbor研究所のグループと京都大学のグループでZOOM会議を行っており、進捗を確認している。現在、最大の課題は理化学研究所から移送させたNanoZoomerがWindows7で作動していたため、インターネットに接続して米国にデータを送信するためにはいくつかのシステムを変更する必要があり、そこに時間を要している。その他の部分については当初の予定通りに進捗している。
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今後の研究の推進方策 |
マーモセットの3次元構築についてはデータ送信システムが確立することで大きく進展すると考えられる。次にマカクザルの全脳標本の処理についてはMitra研究室が関係するインドのムンバイのグループおよび米国ピッツバーグのグループと連携して研究を進める予定である。また、京都大学では別途AMED予算で7T MRI機においてBOLD MRI撮像を可能にするコイルの導入が昨年度末に完了しており、京大独自で高精度のMRI機能・構造画像の取得が近々に可能になる予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナウィルス感染拡大に伴い、国を超えた往来が不可能になったため、予算を次年度に繰り越し、往来が可能になった段階で執行することにした。
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