研究課題/領域番号 |
19KK0199
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
横溝 岳彦 順天堂大学, 大学院医学研究科, 教授 (60302840)
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研究分担者 |
城 愛理 (渡辺愛理) 順天堂大学, 大学院医学研究科, 助教 (40726197)
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研究期間 (年度) |
2019-10-07 – 2023-03-31
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キーワード | Gタンパク質共役型受容体 / 生理活性脂質 / 創傷治癒 / 炎症性腸疾患 |
研究実績の概要 |
1)BLT2作動薬のスクリーニング 腸内細菌が産生するとされている中鎖、分枝鎖酸化脂肪酸40種を入手し、BLT2に対する作働活性をスクリーニングした。2つの化合物にBLT2作働活性を見いだしたが、濃度依存性を検討したところ、既存のBLT2作働薬CAY10583よりも一桁以上高い濃度を必要とすることが明らかとなった。今後、脂肪酸鎖長、水酸基の位置、分枝鎖の構造などを変化させてBLT2作働活性の高い化合物への変換を試みる。 2)BLT2大量発現系の構築 COVID-19のまん延のため、英国Sosei-Heptares社での研究を行うことができず、BLT2大量発現系の構築における進展は得られなかった。2022年5月に大学院生をSosei-Heptares社に半年間派遣し、遅れているBLT2大量発現系の構築を目指したい。そのために、2021年度の研究費の一部を2022年度に繰り越した。 3)BLT2作働薬の標的疾患の対策 英国Sosei-Heptares社の研究チームと、月に一回の定期的なオンライン会議を行い、BLT2作働薬が有効と考えられるヒト疾患の同定を目指している。具体的には、ヒト炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎、クローン病)の患者検体を用いたRNASeq解析の結果や、抗BLT2抗体を用いたヒト検体の免疫染色のデータを共有している。また、順天堂大学で作成したBLT2過剰発現マウス、BLT2欠損マウスにデキストラン硫酸(DSS)含有水を摂取させることでDSS大腸炎を惹起させ、そのマウス大腸組織を英国Sosei-Heptares社に送付して免疫染色を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
COVID-19まん延のため、共同研究先である英国Sosei-Heptare社においてBLT2大量発現系の構築を行うことができていないため。幸い、英国への入国制限が撤廃されたため、2022年5月に大学院生一名を英国Sosei-Heptare社に派遣し、BLT2大量発現系の構築を行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
Heptares社から提供された化合物ライブラリーからは高い活性を有する化合物を見いだすことができなかった。また、腸内細菌が産生すると考えられている酸化脂肪酸ライブラリーを入手し、BLT2作働活性を検討したが、現段階では高活性の化合物は得られていない。現在得ている低活性化合物を基本に構造機能相関をあきらかにし、より高活性の化合物の合成を行いたい。また、微生物学研究所清水孝雄博士より、微生物、真菌、細菌から抽出されたユニークな生体分子ライブラリを用いたGPCR作働薬・拮抗薬のスクリーニング研究の提案を頂いたので、BLT2も標的分子の一つに加えて、BLT2作働薬のリード分子を見いだしたいと考えている。一方で、COVID-19まん延のせいで遅れているBLT2の過剰発現系を構築する。熱安定性をもたらすと考えられるアミノ酸変異導入を行い、大量発現用のBLT2発現ベクターを作成済みである。これをSf9細胞に感染させてBLT2大量発現の培養条件を探索する。2022年4月の段階で渡英が可能になっているため、2022年5月に博士大学院生一名を半年間Sosei-Heptares社に派遣し、変異BLT2の発現と精製を行うことを計画している。
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19まん延のため、英国Sosei-Heptares社での研究が行えなかったため。本年は、大学院生を半年間Heptares社に派遣し、BLT2の大量発現実験を行う予定である。
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