研究課題
本研究課題では東北大学で開発したアストログリオーシスを選択的に検出するためのPETプローブ[F-18]SMBT-1のバイオマーカーとしての有用性を国際共同研究で確立することを目的とした。オーストラリア・オースチン病院で臨床研究を実施し、[F-18]SMBT-1のIn vivoにおける選択性をMAO-B選択的阻害薬セレギリンを用いることで実証した。さらに、最も重要な発見としてIn vivoにおける[F-18]SMBT-1の結合はアミロイド陰性の認知機能正常者と比較して統計学的有意差を持ってアミロイド陽性の認知機能正常者で増加していたことである。すなわち、アストログリオーシスは臨床症状が現れる前から顕在化していることがヒトにおいて証明された。オーストラリアでの初期臨床研究のデータを基に東北大学CYRICでも[F-18]SMBT-1の臨床研究を開始した。その中で[F-18]SMBT-1の定量法を確立するために動脈採血試料の分析条件の最適化を行った。放射性代謝物の分離については海外研究者のVictor L.Villemagne博士のチームでも苦戦していたが、研究分担者(若手研究者)の原田龍一博士が現地に赴くことで問題が解決され、現在も動脈採血ありのPET研究を継続中である。[F-18]SMBT-1の臨床画像所見の妥当性の検証を剖検脳を用いて評価するためにSMBT-1のトリチウム体を合成し、東北大学で保有する剖検脳試料を用いてオートラジオグラフィーを実施したところ、[H-3]SMBT-1の特異的な結合が確認できた。Victor L.Villemagne博士らの保有するブレインバンクを利用して検証するために[H-3]SMBT-1を供与し、現在評価を進めている。
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すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (7件) (うち国際共著 3件、 査読あり 6件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (16件) (うち国際学会 7件、 招待講演 2件)
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