研究課題/領域番号 |
19KK0213
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
北本 哲之 東北大学, 医学系研究科, 教授 (20192560)
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研究分担者 |
竹内 敦子 東北大学, 医学系研究科, 助教 (00535239)
甲斐 英朗 東北大学, 医学系研究科, 技術補佐員 (70648261)
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研究期間 (年度) |
2019-10-07 – 2022-03-31
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キーワード | プリオン / FFI / SFI / 新しいプリオン分類 |
研究実績の概要 |
わが国で経験したFFI症例、視床型CJD症例の新しいプリオンに関して、海外共同研究者であるParchi博士と相談の上、新しいプリオンM2C(sv)プリオンと名付けて、Brain Communicationsで発表した。これは、新しいプリオンが視床型CJD以外にも広く存在し、皮質型CJDに分類するほうが良いとの判断での命名である。コドン129Metの遺伝子型でタイプ2の異常プリオン蛋白を呈し、皮質を主に侵し、従来の報告のある皮質型より小さな空胞変性(small vacuolation, sv)を示すからである。また、Parchi博士の研究室へ若手研究者である甲斐博士を派遣し、イタリアのFFI症例を詳細に検討したところ、わが国で見出したM2C(sv)プリオンが主体となる症例が存在を確認することが出来た。我が国の非典型例FFIがイタリアのオリジナルFFI家系でも存在することが明らかとなったのである。さらに、最終確認を行うべく、研究代表者の北本がイタリアへ行く予定であったが、COVID-19によって今年度も延期せざるを得なかった。しかし、本年度は、何故同じ変異で2つのプリオンが出てくるのかという発病機序を検索する時間に充てたところ、全く新しい発病メカニズムの解明の糸口を見つけることが出来た。FFI SFIに見られる新しいプリオンの同定と新分類の確立のための国際共同研究は当初の予定を遥かに超えて、全く新しい局面に至っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
予定ではFFIの新しいプリオンの同定と新分類の確立を目的とした国際共同研究であったが、COVID-19の為イタリアへの出張が延期になるなか、何故2つのプリオンが同じD178Nという変異から出てくるのかのメカニズムが明らかになりつつある。このメカニズムは、当初予定していたFFIに留まらずP102L変異でも、またほかの変異でも見られるメカニズムであることを明らかにしつつある。当初の予定を、遥かに超えた研究の進展である。
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今後の研究の推進方策 |
もちろん、今のままの国際共同研究でもFFIに関しては進めることが可能と思うが、当初の予定を超えた研究の進展状況であるので、今後の研究の推進を考え基盤研究Sに応募している。
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19のイタリアでの蔓延に伴い、今年度に予定していた研究代表者北本のイタリア出張が中止になった。この出張等に伴う費用を来年度に持ち越す予定となった。
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