研究課題
ブルーリ潰瘍(Buruli ulcer)は、「顧みられない熱帯感染症 (Neglected Tropical Diseases)」のひとつとして世界保健機関WHOが重点的に疾病対策を展開している細菌感染症である。西アフリカ地域に多くの発症例がある。本疾患の起因菌は抗酸菌の一種Mycobacterium ulceransであるが、環境における感染源やヒトへの感染経路はわかっていない。様々な水系環境において本菌の存在が報告されているものの、自然界におけるリザーバーの有無、感染伝播の様式は現在も謎に包まれている。本研究では、環境中に生息するM. ulceransの中で病原性に関わる因子を有している菌のみヒトへの感染性を有するという新たな仮説を立て、以前から連携しているガーナの共同研究者とともに環境および患者由来の菌から病原因子の同定とその検証を行い、本感染症の感染経路の解明を目指す。2021年、ガーナ国境閉鎖解除と国際便の再開に伴い、6月と11月に、ガーナ国内で患者が多く発生しているデンス川流域の患者宅周辺の環境水等のサンプリングを実施した。環境サンプルを各種フィルターによる分画後にDNAの抽出と抗酸菌分離を試行した。菌の分離には到らなかったが、環境サンプルからM. ulceransが有する遺伝子(IS2404)を検出したことから、環境水に起因菌が存在していることが強く示唆された。さらに、単一菌体をひとつのドロップレットに封入する技術を応用してフィルターよりシングルセル分離を実施した。そこから起因菌M. ulceransが有するIS2404の検出に成功した。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (9件) (うち国際共著 4件、 査読あり 8件) 学会発表 (12件) (うち国際学会 2件、 招待講演 1件) 備考 (3件)
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