研究課題
本研究課題は、新たに作成する世界規模の前向き観察研究の統合データから、閉経までの心血管疾患、婦人科癌の発症・死亡に関連する生活保健習慣および生殖機能関連のリスク因子について、3つのグループ(①本邦女性、②欧米豪在住日系女性・アジア系女性、③その他の欧州豪女性)の比較を行う。そのことにより、特に、本邦女性・アジア女性の視点から、更年期症状・心血管疾患・婦人科癌の発症に影響する要因を特定して、人種・遺伝的要因、生活保健習慣等の環境的因子、またそれらの相互作用の大きさを明らかにし、本邦女性、また世界女性の健康に寄与する有益な知見を得ることを目的としている。令和元年度は、JNHS研究者(林邦彦、李廷秀、井手野由季、長井万恵)が世界規模の女性コホート研究コンソーシアム「生殖関連機能事象と慢性疾患イベントに対するライフコース・アプローチの国際共同研究(InterLACE)」のデータセンターに出向き(2020年1月23~28日、豪州 クイーンズランド大学)、JNHSの前向き観察データ(追跡データ)の標準化および他コホート研究データとの統合作業のための調整を行った。また、次年度の具体的解析内容や研究者の渡航スケジュールについて下記の通り確認した。・林邦彦、李廷秀:ALSWH研究、SWAN研究、(可能であればHILO研究)での日系女性、アジア系女性の追加詳細情報(1世、2世といった移住後世代情報等)の収集とその標準化を、2020年9月中旬に一週間程度InterLACEデータセンターで行う。・井手野由季:豪州研究者と共同で閉経年齢および骨粗鬆症についてのデータ解析を2020年7~8月InterLACEデータセンターで行う。・長井万恵:豪州研究者と共同で糖尿病および片頭痛についてのデータ解析を2020年6~7月InterLACEデータセンターで行う。
2: おおむね順調に進展している
2020年1月には、クイーンズランド大学にてInterLACE-JNHS Joint Meetingを開催し、データ統合法およびタイム・スケジュールについて打ち合わせを行った。InterLACEデータおよびJNHSデータの標準化のための基盤を構築し、新たな世界規模の統合データ作成に向け順調に進んでいる。
標準化したJNHS追跡データとの新規統合データを完成させて、閉経年齢、骨粗鬆症、糖尿病、片頭痛について、生活習慣や生殖機能関連のリスク因子について検討を開始する。令和2年度は、下記研究者が豪州へ渡航予定であるが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の蔓延による渡航制限のため現時点で渡航予定が立たず、研究進捗に大きな影響がでる可能性がある。・林邦彦・李廷秀:追加詳細情報の収集とその標準化、また新規統合データの作成の日豪共同作業のため9月中旬に1週間程度の渡航・井手野由季:閉経年齢および骨粗鬆症のデータ解析・論文作成の日豪共同作業のため8~9月に2か月程度の渡航および「22th IEA World Congress of Epidemiology(WCE2020)」での中間報告・長井万恵:糖尿病および片頭痛のデータ解析・論文作成の日豪共同作業のため6~7月に2か月程度の渡航および「22th IEA World Congress of Epidemiology(WCE2020)」での中間報告
2020年3月に研究打ち合わせの出張を予定していたが、新型インフルエンザ等対策特別措置法(新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の蔓延)による緊急事態宣言が発令され、他の都道府県への移動自粛(出張自粛)が強く要請されたため、次年度に延期した。次年度に出張旅費として使用予定である。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件) 備考 (1件)
The Lancet Public Health
巻: 4 ページ: e553-564
10.1016/S2468-2667(19)30155-0
https://plaza.umin.ac.jp/~jnhs