研究課題/領域番号 |
19KK0242
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
大松 勉 東京農工大学, 農学部, 准教授 (60455392)
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研究分担者 |
久和 茂 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 教授 (30177943)
加藤 健太郎 東北大学, 農学研究科, 教授 (30401178)
宇根 ユミ 岡山理科大学, 獣医学部, 教授 (40160303)
藤井 ひかる 岡山理科大学, 獣医学部, 助教 (10734444)
松山 亮太 広島大学, 医系科学研究科(保), 助教 (00780008)
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研究期間 (年度) |
2019-10-07 – 2023-03-31
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キーワード | コウモリ / 疫学調査 / リスク分析 / 網羅的解析 / ウイルス / 細菌 / 寄生虫 |
研究実績の概要 |
現在世界各地で流行するCOVID-19の原因ウイルスであるSARS-CoV-2や西アフリカで流行するエボラウイルス、東南アジアで発生したニパウイルスなど、世界的に問題となっているウイルスの自然宿主としてコウモリは知られている。今後も、コウモリから新たなウイルス感染症が発生する可能性は否定できない。また、コウモリを介した細菌や寄生虫の拡散リスクについてはほとんど明らかになっていない。本研究では、フィリピン国内に生息する翼手目(コウモリ)を対象としたウイルス・細菌・寄生虫の網羅的な疫学調査とフィリピンに生息するコウモリの生態情報を融合し、コウモリ由来感染症のリスクを明らかにすることを目的としている。令和元年度は、フィリピン側共同研究者と複数回メールでの打ち合わせを行った上で、現地において日本側共同研究者とフィリピン側共同研究者との会合を行い、全体の研究計画を確認すると共に疫学調査地に関する情報交換を行い、日本側研究者が参加する現地における大規模調査とは別にフィリピン側共同研究者が継続して実施している生態調査時にも病原体保有調査用のサンプリングを実施することとなった。また、生態情報に関して収集する情報の項目について情報交換を行い、データベース構築に関する作業工程を確認した。現地疫学調査としては、定点調査候補地としてルソン島中部を選定し、コウモリの捕獲調査を行いオオコウモリ、ココウモリ含め、約120頭のコウモリを捕獲した。今後、コロナウイルスやエボラウイルス等のウイルス、Campylobacter jejuni等の細菌、アイメリア等の寄生虫の保有状況についてPCRやELISA等の手法を用いて解析する。また、次回調査地としてパラワン島を選定し、資材等の準備を進める予定である。。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度は実施予定であった全体計画の作成及び定点調査地の選定を行い、現地捕獲調査では約120頭のコウモリを捕獲することができており、順次、病原体保有状況に関する解析を進めている。COVID-19の発生により研究の進捗に若干の影響は出ているものの、初年度の進捗については、おおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
現地疫学調査において捕獲したコウモリを対象として、ウイルス、細菌、及び寄生虫を対象としたゲノム又は抗体保有状況に関する疫学的解析を行う。また、フィリピン側共同研究者が生態調査時に収集したスワブサンプルについても疫学的解析を進める予定である。2020年度における現地疫学調査地として、定点に加えて実施を予定している調査地としてパラワン島を選定している。フィリピン側及び日本側の共同研究者と日程調整を行った上で定点調査と共に現地疫学調査を実施する予定である。リスク分析を行う為のデータベース構築についても、順次進めた上で解析を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
初年度実施した現地疫学調査の実施後にCOVID-19が発生し、実施を予定していた病原体保有状況に関する疫学的解析に必要な試薬等の一部の購入が次年度にずれ込んだために、次年度使用額が生じた。生じた次年度使用額については、計画通りに疫学解析に関連する試薬等に使用する。
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